質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五八号

内閣参質一八九第一五八号
  平成二十七年六月十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員中西健治君提出集団的自衛権における「必要最小限度の実力行使」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出集団的自衛権における「必要最小限度の実力行使」に関する質問に対する答弁書

一について

 「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件(以下「新三要件」という。)に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」で、国際法上の根拠が集団的自衛権となるものについての「必要最小限度」とは、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される原因を作り出している、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度を意味する。
 お尋ねの「我が国に対する武力攻撃が発生し、これを排除するために、個別的自衛権を行使する場合」の「必要最小限度」とは、武力の行使の態様が相手の武力攻撃の態様と均衡がとれたものでなければならないことを内容とする国際法上の用語でいう均衡性に対応するものであるが、これと必ずしも「同一の範囲・内容」となるものではない。
 新三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」については、その国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合であれ、個別的自衛権となる場合であれ、お尋ねの「必要最小限度の実力行使」の「範囲・内容」は、武力攻撃の規模、態様等に応ずるものであり、一概に述べることは困難である。

二について

 お尋ねの「憲法上の根拠を欠く自衛の措置としての武力行使の国際法上の評価」については、政府として行っていない。

三について

 お尋ねの「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」については、新三要件の第三要件に対応するものとして、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十八条第二項並びに現在、国会に提出している我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案による改正後の武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第三条第三項及び第四項において明確に規定されている。