質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇五号

改正後のPKO法におけるPKO参加五原則の維持と同法第三条第一号及び第二号の定義に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月十七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   改正後のPKO法におけるPKO参加五原則の維持と同法第三条第一号及び第二号の定義に関する質問主意書

 今般の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案による国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の改正(以下「改正後のPKO法」という。)では、新設業務である安全確保業務や駆け付け警護に従事する自衛官に、いわゆる任務遂行型の武器使用権限が付与される。このため、PKO法制定時から堅持されてきたいわゆるPKO参加五原則((一)紛争当事者の間で停戦の合意が成立していること、(二)当該平和維持隊が活動する地域の属する国及び紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊へのわが国の参加に同意していること、(三)当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的な立場を厳守すること、(四)上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することができること、(五)武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限度のものに限られること)について、第五原則に「受入れ同意が安定的に維持されると確認されている場合、いわゆる安全確保業務及びいわゆる駆け付け警護の実施に当たり、自己保存型および武器等防護を超える武器使用が可能。」との内容を追加する旨の変更がなされる。また、同改正においては、国際平和協力業務の実施又は物資協力の対象として、新たに非国連統括型の国際連携平和安全活動が追加される。
 これらの改正内容について、以下質問する。

一 今般の法改正がなされた後も、PKO参加五原則については、第五原則を除く第一原則から第四原則までの内容は全く変更されないとの理解でよいか。従来は、PKO参加五原則の下における適切な自衛隊の運用により、国際平和協力活動のために海外に派遣される自衛官の安全性が確保されてきたと考えるが、今後もこの点は何ら変わりがないということか。

二 改正後のPKO法第三条第一号及び第二号のイからハにおける「当該活動が行われる地域」とは、例えば、イラクのサマワのような国土の一部を指す概念であるのかを明確にされたい。もし、「当該活動が行われる地域」が国土の一部を指す場合、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法に基づき二〇〇三年十二月から二〇〇九年二月にかけて行われたサマワでの人道復興支援のような国際平和協力活動も、改正後のPKO法で対応できるのではないか。つまり、サマワというその地域に紛争当事者が存在していなければ、同法第三条第二号に該当するとして、自衛隊が任務を行えるようになるのではないか。
 この点について、政府は、サマワで自衛隊が人道復興支援活動を実施した当時の状況に照らせば、停戦合意が存在せずPKO参加五原則を満たさない、あるいは、これからの我が国の対応としては、改正後のPKO法の範囲以上のことは実施せず、特措法で対応することは想定していないなどと答弁している。しかし、国際連合平和維持活動や国際連携平和安全活動の定義にある「当該活動が行われる地域」の概念を狭く解することも可能であるとすれば、サマワでの人道復興支援のような国際平和協力活動も改正後のPKO法の範囲に含まれるのではないか。

  右質問する。