質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二八五号

我が国が武力攻撃を受けた場合に、攻撃を行った側の国への後方支援活動に対して自衛隊が攻撃できない理由に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月十四日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   我が国が武力攻撃を受けた場合に、攻撃を行った側の国への後方支援活動に対して自衛隊が攻撃できない理由に関する質問主意書

 平成二十七年八月五日の参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会において、中谷防衛大臣は、「支援活動というのはそのような戦闘行為に当たるものではなくて、後方支援と言われるものは、支援活動それ自体は武力の行使に当たるものではないということで、そのような支援活動を行う者に対して武力行使を行うということは国際法的には違法な武力行使であって、正当化をされないということでございます。」と答弁し(以下「当該答弁」という。)、我が国が武力攻撃を受けた場合、外国の軍隊等に後方で弾薬を提供し、攻撃に向かう航空機に対して給油や整備を行う組織を攻撃することは、国際法上不可能との認識を示した。つまり、日本が武力攻撃を受けた場合に、武力攻撃を行う国に対する「後方支援」活動に対して自衛隊は攻撃できないと答弁したことになる。「後方支援」活動自体がそもそも国際法に定義されておらず、それに対する攻撃の可否も国際法に明確に規定されているかどうかも不明であり、また、現実の自衛という観点から大きな問題がある。
 よって、以下の点を質問する。

一 当該答弁に「そのような支援活動を行う者に対して武力行使を行うということは国際法的には違法な武力行使であって、正当化をされないということでございます。」とあるが、ここで指される国際法の具体的な名称と関係する条項を明確に示されたい。

二 中谷防衛大臣は、八月五日の別の答弁において「国際法上、後方支援は戦闘行為とみなされるかどうかということでございますが、一般に戦闘行為というのは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいいます。」と述べているが、国際法に「戦闘行為」を定義しているものがあるのか、あるとした場合、国際法の具体的な名称と関係する条項を明確に示されたい。

三 自衛隊が行う後方支援を正当化するために、日本が武力攻撃を受けた場合に、武力攻撃を行う国に対する「後方支援」活動に対して自衛隊は攻撃できないと国会答弁で言明すると、「B国が、A国に日本を攻撃させ、B国はその後方で全く攻撃される心配なく武器や弾薬を運ぶ」という可能性が高まり、我が国の防衛上大きな問題になると思われるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 中谷防衛大臣の詭弁は日本の防衛を著しく危険にさらすものである。また、自衛隊が海外で弾薬の提供や武器の輸送などの支援を行った外国の軍隊等から攻撃される国から見れば明らかに自衛隊が「武力行使と一体化」しているものを、あくまでも武力行使と一体化していないと言い張るために、我が国の防衛に大きな足かせをかけることになり大きな問題となると思われるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。