質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二七四号

米軍等の部隊の武器等防護に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   米軍等の部隊の武器等防護に関する第三回質問主意書

 私が平成二十七年八月二十日に提出した「米軍等の部隊の武器等防護に関する再質問主意書」(第百八十九回国会質問第二五〇号)において、G7各国、中国、ロシア等主要国の法制及び運用状況や米軍等の部隊の武器等防護の国際法上の根拠となる条約、判例等について質問したのに対し、政府は、答弁書(内閣参質一八九第二五〇号。以下「前回答弁書」という。)において「主要国政府との間で様々なやり取りを行っているが、それらは公表を前提として行ったものではなく、具体的な内容については、相手国との関係もありお答えすることは差し控えたい」として主要国の法制及び運用状況を明らかにしない一方で、米軍等の部隊の武器等防護の国際法上の根拠については、「国家実行等を踏まえており、他国の部隊に対する武力攻撃に至らない侵害を現場において排除することは、国際慣習法上認めることができる」との答弁を行っている。
 この答弁を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、米軍等の部隊の武器等防護の国際法上の根拠について、各国の国家実行を踏まえて、国際慣習法と認められると説明しているが、それであれば、その国家実行を具体的に明らかにしなければ、政府の見解が正当なものか否かを国会として確認できないと考えるが、いかがか。政府は、米軍等の部隊の武器等防護の規定を創設することについて、国会に対して十分な説明を行うことの必要性を認識していないのか。

二 前回答弁書で明らかにされなかったG7各国、中国、ロシア等主要国の法制及び運用の状況について、相手国との関係で問題が生じない範囲で明らかにされたい。国の数を挙げるだけであれば、相手国との関係で問題は生じないはずであり、少なくとも、政府の調査において、平時に他国軍隊の武器等防護を認めている国が何か国あったのかを明らかにされたい。

三 諸外国の軍隊において、武力攻撃に至らない侵害から第三国の軍隊を防護したという実際の例はあるのか。政府の把握している事例について、相手国との関係で問題が生じない範囲で明らかにされたい。件数を示すだけであれば、相手国との関係で問題は生じないはずであり、少なくとも、政府の把握している件数を示されたい。

四 平成二十六年六月十日の参議院外交防衛委員会において、岸田外務大臣は、「御指摘のユニットセルフディフェンスですが、これは、各国の交戦規定、ROEで採用されている概念であります。部隊に対する外部からの侵害に対し、部隊の防衛のために必要な措置をとることを指すと承知をしておりますが、こうしたユニットセルフディフェンスは、侵害が行われた現場で必要な措置をとるというものであります。」と答弁している。岸田外務大臣の答弁したユニットセルフディフェンスという考え方の法的性質を示されたい。また、これは国際慣習法として認められているものなのか。

五 前記四に関し、岸田外務大臣の答弁したユニットセルフディフェンスという考え方と集団的自衛権との関係を示されたい。両者は全く別物なのか、概念として重なる部分があるのかといった点を含め、詳しく示されたい。

六 政府は、平時に自衛隊が米軍等の部隊の武器等を防護できるとする国際法上の根拠をこのユニットセルフディフェンスの概念に求めていると理解してよいか。異なる場合は、その国際法上の根拠となる概念を明らかにされたい。

  右質問する。