質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二五九号

国外犯処罰規定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月二十七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   国外犯処罰規定に関する質問主意書

 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案による改正後の自衛隊法(以下「改正法」という。)第百二十二条の二は、上官の職務上の命令に対する多数共同しての反抗及び部隊の不法指揮(三年以下の懲役又は禁錮)並びに防衛出動命令を受けた者による上官命令反抗・不服従等(七年以下の懲役又は禁錮)について、国外犯処罰規定を新たに設けている。本条項に関して質問する。

一 今まで「専守防衛」の下で海外派兵は一般に禁じられていたため、現行の自衛隊法では防衛出動命令を受けた者による上官命令反抗・不服従等について、自衛隊員が外国領域内で当該行為を行うことは想定しておらず、国外犯処罰規定はなかった。今回の国外犯処罰規定の新設は、存立危機事態において海外で武力行使をすることを念頭に置いたものか。

二 現行の自衛隊法第五十七条に定めるとおり、自衛隊員は上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。ゆえに、上官命令により、個々の自衛隊員がその意思に反して海外での武力行使を命ぜられ、人の生命を奪うような事態も生じるのではないか。海外での武力行使に先立って自衛隊員本人の意思の確認は行われるのか。また、行われるとした場合、どのような手続となるのか。

三 もし、今回の法改正がなされ、存立危機事態が発生した場合、「改正法は違憲であり従えない」として上官命令に背いた自衛隊員が、司法の場で裁かれる可能性も出てくる。改正法の合憲性・違憲性を判断するのは、最終的には最高裁判所であると考えるがいかがか。また、違憲判決が出た場合には、速やかに改正法は廃止されるのか。

四 現行の自衛隊法第百十八条第一項第四号に定められている「正当な理由がなくて自衛隊の保有する武器を使用した者」の処罰について、国外犯処罰規定がない理由を示されたい。

  右質問する。