質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二五八号

自衛官による米軍等の武器等防護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月二十七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   自衛官による米軍等の武器等防護に関する質問主意書

 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案による改正後の自衛隊法第九十五条の二(以下「本条」という。)は、自衛官の権限として、「アメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊その他これに類する組織(中略)の部隊であつて自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含み、現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。)に現に従事しているもの」の武器等の防護のための武器の使用を、現行の自衛隊法第九十五条と同様に認めることを規定している。本条に関して質問する。

一 政府は、昨年七月一日の閣議決定に基づいて、本条を含む今回の安全保障法制関連法案を作成したと説明している。一方で、本条は、米軍以外の外国の軍隊その他これに類する組織の武器等も防護対象に含めることとしているが、これは、昨年の閣議決定の内容を超えるのではないか。

二 米軍等の武器等の防護のために、他国に対し自衛隊が武器を使用することは「武力の行使」に当たり、憲法第九条に違反するものと言わざるを得ないのではないか。武力の行使に当たらないとする場合、その理由を明確に示されたい。

三 自衛隊の部隊ではなく、個々の自衛官に米軍等の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機等を防護するための武器使用権限を与えるということになると、武器を使用する自衛官に個人では負いきれない責任を背負わせることになるのではないか。

四 本条には「自衛官は、(中略)その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条(正当防衛)又は第三十七条(緊急避難)に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない」とある。米軍等の武器等の警護に当たる自衛官は、自衛官個人として武器を使用しなければならず、一方で、正当防衛や緊急避難が成立するとき以外には、人に危害を加えられないことになるが、これでは武器を使用する自衛官の地位が不安定なものとなり、その身が危険にさらされることになるのではないか。

  右質問する。