質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二四二号

「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」と従来の「非戦闘地域」の相違点に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月十七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」と従来の「非戦闘地域」の相違点に関する質問主意書

 平成二十七年六月一日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における後藤祐一委員の質問に対して、中谷防衛大臣は「国際平和支援法ということで法律をつくります。その中で、(中略)従来は非戦闘地域でありましたが、今回は、現に戦闘行為が行われている現場ではないところというところでございます。そこで、憲法的には、現に戦闘行為が行われていない、現場でないというところで担保はしておりますけれども、隊員の安全ということにつきましては、法律の中に、実施区域の指定というところがありまして、ここでは、防衛大臣は、実施要項において、実施される必要のある役務の提供、具体的な内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該、実施する区域を指定するものであるとした上で、実際にこの指定に当たっては、自衛隊が現に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定をすることにしておりまして、こういった点におきまして、隊員の活動等におきまして、いささかも活動に参加する隊員のリスクを高めるということではないということでございます。」と答弁しているが、この答弁について以下の点を質問する。

一 「いささかも活動に参加する隊員のリスクを高めるということではない」のであれば、今までの旧イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法等にある「非戦闘地域」の定義を使うべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 平成二十七年一月九日の「衆議院議員岡田克也君提出集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更等に関する質問に対する答弁書(内閣衆質一八八第一号)」において、「本閣議決定に示されている「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」といわゆる「非戦闘地域」とは、現に戦闘行為が行われていない地域又は場所であるという点で共通しているが、いわゆる「非戦闘地域」は、「そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」である点において本閣議決定に示されている「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」とは異なる。」としているが、これは前述の中谷防衛大臣答弁における「自衛隊が現に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定をすることにしており」と矛盾しているのではないか。中谷防衛大臣の答弁が正しいとすれば、「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」と「非戦闘地域」は同じ定義になると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 実際に、「自衛隊が現に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定をする」としても、現に戦闘行為が行われている現場(以下「戦闘地域」という。)の直近まで物資を輸送すれば、攻撃の対象となり大きなリスクを負うことになると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 また、戦闘地域の近くで活動することはないのか、どの程度の距離が離れていれば活動が可能なのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 現在、国際的な武力紛争が起きておらず戦闘地域でないアフガニスタンのカブールでは、装甲車両が自爆テロなどテロの標的になっており、実際に駐留する外国軍隊にも被害が出ている。このような場所で治安部隊の車両はテロ攻撃の標的になりやすく、これらの外国軍隊に対して自衛隊員が後方支援活動を実施する場合、自衛隊員に対するテロ攻撃等のリスクは限りなく高くなると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 戦闘地域が明確でないアルカイダやISILのようなテロ組織等との戦いである「対テロ戦争」が主流になる中で、「対テロ戦争」が重要影響事態や国際平和共同対処事態と認定され、自衛隊が後方支援活動を実施する場合、実施区域と戦闘地域の線引きが可能なのか。可能であるのであれば、法律で抽象的な判断基準のみを決め、実施に当たって政府の判断に任せるのではなく、政府が、今国会でその線引きの基準を明確にすべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。