質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二四一号

安保法案が憲法前文の平和主義に違反し違憲無効であることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月十三日

小西 洋之   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安保法案が憲法前文の平和主義に違反し違憲無効であることに関する質問主意書

一 安倍内閣を含む歴代政府が明らかにしている憲法の前文に規定する三つの平和主義のそれぞれについて、限定的な集団的自衛権行使と法理として矛盾しない理由、すなわち、憲法の平和主義の規定があるにもかかわらず限定的な集団的自衛権行使が合憲であると考える理由について具体的かつ網羅的に明らかにされたい。

二 前記一については、特に、以下の点についても明らかにされたい。八月十一日の参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会において、岸田外務大臣は「日本国民の平和的生存権のみならず他国の国民の平和的生存権はどうなのか、こういった質問がありました。これは、端的にお答えすると、これらは全て国際法が遵守されているという世界の中で完結する議論であります。我が国が限定された集団的自衛権を行使する、これは既に武力攻撃の発生を前提としています。武力攻撃が発生している、違法な武力攻撃が発生している、この前提の下で我が国として限定的な集団的自衛権を行使する、これが議論されています。これは、国際法が遵守されているという世界の中であったならば単純に物を考えられるんでありましょうが、今申し上げているのは、その中にあって違法な武力攻撃が発生している、それの中でどう対応するのか、こういった議論をしております。これは、憲法前文におきます平和主義とは矛盾しない話であると私は考えます。」と答弁している。この答弁の趣旨は、同盟国等の我が国に密接な関係のある他国に対して違法な武力攻撃を行っている国の軍人や一般市民は、憲法前文に定める平和的生存権を有しない者となると考えているのか。あるいは、違法な武力攻撃を行っている国に対して我が国が限定的な集団的自衛権による武力行使を行う際には、その武力行使によって殺傷することとなる当該国の軍人や巻き添えで殺傷することとなる当該国の一般市民との関係では、憲法前文において全世界の国民が有することを確認している平和的生存権との法的な問題(憲法第九条の解釈上の指針としての意味)は一切何も生じないと考えているのか。

三 前記二にある岸田大臣の答弁について、岸田大臣において爆心地が所在する広島県第一区を選挙区とする代議士として、原爆による惨禍の上に定められた憲法の平和主義の理念を否定することにならないか、また、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」との碑文の趣旨に反することにならないか、内閣として岸田大臣が有する認識を確認し、明らかにされたい。

四 安倍内閣を含む歴代政府が明らかにしている憲法の前文に規定する三つの平和主義のそれぞれについて、現在、国会で審議中の安保法案において法理として可能と安倍内閣が国会答弁をしているいわゆる後方支援活動における「核兵器の運搬」、「核兵器の提供」、「核兵器を搭載している航空機への給油」の行為がなぜ法理として矛盾しないのか、その理由について具体的かつ網羅的に明らかにされたい。

  右質問する。