質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一二五号

養子縁組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月三十日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   養子縁組に関する質問主意書

 養子縁組に関し、以下質問する。

一 一九九三年に成立した「国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約」(以下「ハーグ国際養子縁組条約」という。)は、締約国間で養子縁組の規則と手続を確立する条約である。国際養子縁組について、子の最善の利益のために行われ、愛にあふれた家庭を確保できる枠組みを取り決めており、先進各国を始め九十か国以上が締結しているが、日本はまだ批准していない。日本がハーグ国際養子縁組条約に批准しない理由を明らかにされたい。

二 過去五年にわたる国内の里親委託、普通養子縁組及び特別養子縁組それぞれの件数を明らかにされたい。また、国際養子縁組による出入国の件数を、国名とともに明らかにされたい。

三 米国国務省は、毎年三十人から四十人の日本人孤児・養子が入国していると発表しているが、日本政府に同様の統計はあるか。ないのであれば、養子縁組についての実情を把握する制度が必要と思われるが、政府の見解を示されたい。

四 養子縁組の斡旋業者は罰則のない届出制であり、無届けの業者による人身売買の危険性が指摘されている。養子斡旋事業に対する積極的な監督機能が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

五 国内では保護を必要とする子の九割が乳児院や児童養護施設で暮らしているといわれる。施設で育つ子は家庭の愛情を知らないだけでなく、金銭的問題から早期の自立が求められるため、将来の選択肢も限られてしまうと指摘する声もある。また、保護を必要とする残り一割の子のほとんどが里親制度の下で育つ。里親や子に対しては、国や地方自治体から十分な手当や養育費が支給されるが、養子縁組には支給制度がない。保護を必要とする子の可能性を広げるためにも、養子縁組を行いやすい環境整備が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

六 養子縁組希望者に対する十分かつ適切な斡旋体制が国内で整備されていないため、養子縁組が決まらず、多くの子が施設や国際養子縁組に送られているとの指摘がある。国内における養子縁組希望者数について政府は把握しているか。把握しているのであれば、その数を明らかにされたい。把握していないのであれば、その数を一元的に把握し、斡旋するための体制を整備すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 児童相談所は、養子縁組について消極的であり、養子縁組により積極的に関わるべきとの指摘もある。保護を必要とされる子として児童相談所が受けた件数のうち、施設への入所、里親への委託、養子縁組(養子縁組里親を含む)の斡旋等、措置の内容別に件数を明らかにされたい。

  右質問する。