質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇一号

内閣参質一八七第一〇一号
  平成二十六年十一月二十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出政府開発援助大綱見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出政府開発援助大綱見直しに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの開発協力大綱案(以下「大綱案」という。)において、「開発協力」を「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」と定義したのは、大綱案は政府及び政府関係機関による活動についての指針を示すことを目的としているためである。当該定義にある「政府及び政府関係機関」には、外務省以外の府省も含まれる。
 また、大綱案においては、「開発を目的とする又は開発に資する民間の資金・活動(企業や地方自治体、NGOを始めとする多様な主体による資金・活動)との連携を強化」することとし、そのためのより具体的な指針について記述している。

二について

 我が国は、テロ、災害、感染症、貧困等、人間に対する直接的な脅威に対処するため、個々の人間の保護と能力強化を重視する「人間の安全保障」の考え方を推進してきており、大綱案においては、「我が国の開発協力においては、人間一人ひとり、特に脆弱な立場に置かれやすい子ども、女性、障害者、高齢者、難民・国内避難民、少数民族等に焦点を当て、その保護と能力強化を通じて、人間の安全保障の実現に向けた協力を行う」こととしている。

三について

 「人間の安全保障」の考え方を推進する政府としては、国際連合(以下「国連」という。)を中心とする国際的な場における議論を通じてその概念の普及に努めるとともに、我が国が国連に設置した人間の安全保障基金への拠出、草の根・人間の安全保障無償資金協力等を通じ、その実践に努めている。
 また、平成二十五年に横浜で開催された第五回アフリカ開発会議で「人間の安全保障」に関するシンポジウムを開催するとともに、平成二十六年に東京で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」において「これからの「人間の安全保障」と女性」をテーマとして取り上げる等、様々な機会において「人間の安全保障」を取り上げてきている。
 これらの取組については、報道発表など報道機関への情報提供や、外務省ホームページへの掲載等を通じて国民に周知するよう努めているところであり、今後ともこうした取組を通じ、「人間の安全保障」の考え方に対する国民の理解の一層の促進を図っていく考えである。

四について

 大綱案においては、「開発協力の実施にあたっては、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」との原則を定めている。具体的な協力の事案は多岐にわたるため、我が国の協力については、相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合を含め、その趣旨及び目的、対象となる主体並びに内容及び効果を個別具体的に慎重に検討した上で、相手国の開発の需要及び経済社会状況、我が国との二国間関係等を総合的に判断の上実施することが適当と考えている。

五について

 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界を目指して、国際社会における核軍縮・不拡散に積極的に取り組んできており、これまでも、独立行政法人国際協力機構が主催する「アジア不拡散セミナー」の開催や、核兵器の不拡散の取組を有効に行うための関税管理等の技術協力プロジェクト等について、政府開発援助による支援を行ってきている。大綱案においても、「普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現」を我が国の「開発協力」の重点課題の一つとしているところであり、核兵器の不拡散への取組も含め、平和で安定した安全な社会の実現のための支援を引き続き行っていく考えである。