質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五五号

放射性指定廃棄物最終処分場に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十一月五日

渡辺 美知太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   放射性指定廃棄物最終処分場に関する質問主意書

 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により発生した放射性指定廃棄物の処分について、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県及び千葉県では、各県での最終処分が求められているが、これは被害者である地方自治体にその処分の責めを負わせるものであり、妥当性を欠いているものといわざるを得ない。安易な各県処分は、政府が原発再稼働を前提としている以上、放射性廃棄物の拡散を招く虞もあることから見直すべきである。そこで、以下質問する。

一 平成二十六年十月八日の参議院予算委員会(以下「予算委員会」という。)における私の放射性指定廃棄物最終処分場に関する質問に対し、安倍内閣総理大臣は、「国としては、各県で発生している指定廃棄物はそれぞれの地域の問題として各県単位で処分することが適当と考えており」と答弁しているが、放射性指定廃棄物は東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により発生したものであり、本来の事業者責任は東京電力株式会社にある。そして、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(放射性物質汚染対処特措法)において、処分については国が責務を負うこととしており、指定廃棄物は「地域の問題」ではない。どのような意図を持ってこのような答弁をしたのか、政府の見解を明らかにされたい。

二 予算委員会における私の、井上前環境副大臣は基本的には自治体の意向、住民の理解を得ずに国が強制的に調査することはないと言っていたが、内閣改造後もこの方針は継続されるという理解でよいかとの旨の問いに対し、望月環境大臣は、「詳細調査の実施に当たっては、地元の方々の御理解を得られるよう、その候補地の選定経過や処理施設の必要性、安全性などについて丁寧な説明を行う努力が必要だと考えております。今後、こうした努力をせず詳細調査を行うつもりもなく、これまでの姿勢と変わらず地元の方々の御理解をいただく、そういう努力をしてまいりたいと思います。」と答弁している。そうした中、十月八日に環境省は、宮城県加美町で詳細調査を行っている。同町は自治体として詳細調査の受入れを拒絶しており、同日行われた詳細調査は自治体の意に反する強制的な調査に該当すると考えるが、いかがか。

三 宮城県加美町は現在座込み等により詳細調査の受入れを物理的に拒否しているが、このような事態が起こることは、これまでの環境省の不誠実ともいえる対応から容易に予測することが可能であったと考える。そこで、環境省は今回のような座込みによる受入れ拒否を事前に予測していたのか。また、座込みに対しては今後、どのような対応を行うのか明らかにされたい。

四 前記二に関して、「地元の方々の御理解」とは何をもって理解したと捉えるのか。例えば、地方における防潮堤等整備の際の公聴会のようなものをもって「地元の方々の御理解」を得たとするのか。具体的に示されたい。

  右質問する。