質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七一号

内閣参質一八六第一七一号
  平成二十六年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書の抽象的な問題提起に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書の抽象的な問題提起に関する質問に対する答弁書

一について

 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)の有識者が取りまとめて作成した報告書の内容については政府としてお答えする立場にないが、いずれにせよ、日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていく。

二から四までについて

 政府として、あらゆる事態を想定し、国民の命と平和な暮らしを守るため、必要かつ適切な対応をとることは当然である。
 懇談会が平成二十六年五月十五日に報告書を提出したことを受けて、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対処を可能とするための国内法制の整備の在り方について、憲法解釈との関係も含め、現在、「安全保障法制整備に関する与党協議会」(以下「与党協議会」という。)において、協議が進められているものと承知している。政府としては、与党協議会における検討の結果に基づき、政府としての対応を検討することとしている。

五について

 いわゆる砂川事件は、昭和三十五年法律第百二号による改正前の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法(昭和二十七年法律第百三十八号)の合憲性が争われた事案であり、砂川事件最高裁判決(昭和三十四年十二月十六日)の結論は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(昭和二十七年条約第六号)が一見極めて明白に違憲無効であるとはいえない以上、同法も違憲ではないというものである。
 当該判決において、憲法第九条に「いわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているのであるが、しかしもちろんこれによりわが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、(中略)わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」であるという考え方が示されているが、これは、従来からの同条に関する政府の解釈の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものであると考えている。