質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第八五号

内閣参質一八六第八五号
  平成二十六年五月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出防衛装備移転三原則に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出防衛装備移転三原則に関する質問に対する答弁書

一及び五について

 防衛装備の海外移転については、従来、武器輸出三原則等について、個別の必要性に応じて例外化措置を重ねてきたが、防衛装備移転三原則(平成二十六年四月一日閣議決定。以下「移転三原則」という。)は、従来の方針が果たしてきた役割に十分配意した上で、新たな安全保障環境に適合するよう、従来の例外化の経緯を踏まえ、包括的に整理し、明確な原則を定めたものであり、国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)を遵守するとの平和国家の基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持することとしている。

二について

 御指摘の「そのおそれのある国」については、国際紛争に至るまでの経緯は様々であり、「おそれ」について明確に定義することは困難であることから、移転三原則のうち「一 移転を禁止する場合の明確化」の対象には含めないこととしたものである。
 お尋ねの北朝鮮及びシリア・アラブ共和国への防衛装備の移転については、「一 移転を禁止する場合の明確化」との関係では、当該移転が我が国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合には認めないこととしており、また、現時点において、国際連合安全保障理事会の決議に基づく義務として北朝鮮への一定の武器等の移転が禁止されているところ、これに違反する場合にも認めないこととしている。

三について

 防衛装備移転三原則の運用指針(平成二十六年四月一日国家安全保障会議決定。以下「運用指針」という。)においては、防衛装備の海外移転に当たっては、同様の類型について過去に政府として海外移転を認め得るとの判断を行った実績がない案件については、国家安全保障会議幹事会(以下「幹事会」という。)における審議を経ることとしているところ、幹事会において、利用可能な情報に基づき、特に慎重な検討を要する案件であると総合的に判断した案件については、更に国家安全保障会議の審議を経ることとしている。
 また、同会議における審議を経て、海外移転を認めることとした案件については、その背景や目的を含め、概要の公開を図ることとしている。御指摘の年次報告書の具体的な内容については、今後検討してまいりたい。

四について

 お尋ねについては、運用指針において、「仕向先の管理体制の確認に当たっては、合理的である限りにおいて、政府又は移転する防衛装備の管理に責任を有する者等の誓約書等の文書による確認を実施することとする。そのほか、移転先の防衛装備の管理の実態、管理する組織の信頼性、移転先の国又は地域の輸出管理制度やその運用実態等についても、移転時点において利用可能な情報に基づいて確認するものとする。」としており、政府としては、運用指針に沿って、移転三原則上の紛争当事国に防衛装備が移転されること等がないよう、適正な管理を確保していく考えである。