質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一七三号

安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の位置付けに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の位置付けに関する質問主意書

 平成二十六年五月十五日に、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(以下「安保法制懇」という。)が提出した報告書は、内閣総理大臣の下に置かれた諮問機関の見解であって、政府の公式見解ではないと考える。そこで、安保法制懇の位置付けについて、以下質問する。

一 諮問機関とは、行政庁の意思決定に際して、専門的な立場から特別の事項を調査・審議する合議制の機関であり、法令によって設置される「審議会等」と、法令に基づかない「私的諮問機関」の二種類があるとされるが、安保法制懇は「私的諮問機関」との位置付けでよいか。また、議論の締めくくりに「報告書」を提出する私的諮問機関については、審議会等との実質的な違いが分かりにくく、審議会等は法律・政令によって設置することができるとする国家行政組織法第八条の規定に抵触するのではないかとの指摘もあるが、政府の見解如何。

二 私的諮問機関は、閣議決定や大臣等の決裁のみで開催されるものである。法令に基づかない機関でありながら、事務局運営は各省庁が行い、予算は公費から支出されており、法的形式面及び審議会等類似の機関との関係で、かねてから問題とされてきた。これに対し、政府は、昭和三十六年四月の行政管理庁局長通達「懇談会等行政運営上の会合の開催について」等において、私的諮問機関は「出席者の意見の表明又は意見の交換の場に過ぎない」との見解を示してきたが、現在もこの見解に変更はないか。

三 安保法制懇の委員十四人は、外交・安全保障の専門家が大半であり、憲法学者は一人だけとなっている。また、全員が集団的自衛権行使容認派とされており、人選に偏りがある。この点に関して、安保法制懇の北岡座長代理は、五月十九日の自民党の会合で「安保法制懇は、首相の私的諮問機関だから、正統性なんてそもそもあるわけがない」、「自分と意見の違う人を入れてどうするのか。日本の悪しき平等主義だ」と発言したと報じられている。政府は、意見の異なる人物を入れることは、日本の悪しき平等主義であるとの認識の下、安保法制懇の委員の人選を行ったのか。また、審議の公平性と透明性については十分に担保されていると考えているか。

四 政府は、北岡座長代理の発言どおり、安保法制懇は、内閣総理大臣の私的諮問機関だから、正統性はないと認識しているのか。このような発言を行った北岡氏は座長代理としての資質に問題があるのではないか。資質に問題のある北岡氏が座長代理として報告書の取りまとめを行ったことは、手続的にも瑕疵があり、そうした観点からも、報告書には正統性がないと言えるのではないか。

  右質問する。