質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第三四号

尖閣諸島をめぐる問題に対する国連や国際社会への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年二月十九日

藤末 健三   


       参議院議長 平田 健二 殿



   尖閣諸島をめぐる問題に対する国連や国際社会への対応に関する質問主意書

 最近の尖閣諸島をめぐる日中間の緊張の高まりの中、我が国としては、この問題を二国間で対処しようとするだけではなく、国連や国際社会の理解・支持を得るための対応が重要になってくると考える。
 そうした問題意識から、以下質問する。

一 万が一、日本と中国の間に紛争が発生した場合、中国は国連安保理の常任理事国であるため、中国に対する制裁決議案などが提出されたとしても拒否権を行使することができる。その場合、我が国として国連を通じた紛争の解決を図ろうとしても、その対応手段がなくなるのではないか。この点についての政府の見解を示されたい。

二 二〇一二年九月二十六日の国連総会での一般討論演説において野田総理大臣(当時)は「世界の各地では、領土や海域をめぐる紛争が未だ数多く存在しています。国際法に従い紛争を平和的に解決することは、国連憲章の理念であり、国際社会で共有されている原則です。我が国は、どのような場合であっても、この原則を堅持し、国際法に従い平和的な解決を図ってまいります。」と発言しているが、政府として、尖閣諸島の領有権が日本に帰属することについて、歴史的経緯や国際法上の根拠をより明確に国際社会に示すべきではないか。

三 二〇一二年九月二十七日の国連総会での一般討論演説において中国の楊外交部長は、尖閣諸島について、古来より中国固有の領土であったとした上で、「一八九五年、日本は日清戦争末期に、これらの島嶼を窃取し、中国政府に不平等条約の締結を迫り、これらの島嶼を含む関連の領土を日本に割譲させた。」、「第二次世界大戦終結後、カイロ宣言、ポツダム宣言等の国際文書に基づき、これらの島嶼は、その他の日本に侵略・占拠された領土を一緒に中国に返還された。」、「日本政府による所謂『島購入』の一方的な行為は、中国の主権に対する厳重な侵害である。」などと発言している。しかし、尖閣諸島は、過去に中国の領土であったことは一度もなく、無主の土地であったものを一八九五年一月の閣議決定で沖縄県に編入したものであり、日清戦争の講和条約である同年四月の下関条約とは全く関係がない。中国側の一方的な主張に対しては、その歴史的、法的な認識の誤りなどを国際会議の場などで明確に反論していく必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。