質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第七一号

関西電力大飯原発三・四号機の再稼動問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年三月二十三日

福島 みずほ   


       参議院議長 平田 健二 殿



   関西電力大飯原発三・四号機の再稼動問題に関する質問主意書

 政府は、ストレステストの一次評価について、原子力安全・保安院及び原子力安全委員会が検討し妥当と判断した後に、総理大臣を含む四大臣による安全確認を行い、地元の理解・合意を得た上で、現在停止している関西電力大飯原発三・四号機を再稼働させる最終的な政治判断を行うというプロセスを検討している。
 東京電力福島第一原子力発電所事故の真の原因究明などがいまだ終わっていない状況の下で、安易に再稼働を認めるべきではないとの立場から、以下質問する。

一 ストレステストの一次評価及び二次評価について

 政府は昨年七月十一日、三大臣が原発の安全性確認に関する見解を発表し、その中でいわゆるストレステストの一次評価において再稼働の可否を判断するとした。
 しかし、班目原子力安全委員会委員長が経済産業大臣に対して発した要請文書「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する報告について」(平成二十三年七月六日付け二三安委決第七号)には、一次評価と二次評価の区別はなかった。また、班目委員長は、記者会見などの場で、「一次評価だけでは安全性は確認できない」、「諸外国でストレステストを運転再開の是非みたいなものに使っている国はない」と繰り返し述べていた。
 ストレステストについては、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に係る意見聴取会においても、一次評価と二次評価を合わせた評価が必要だという意見が出ている。また、原子力安全委員会が設置した発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価検討会においても、シビアアクシデント防止策について、隣接号機がシビアアクシデントに至っている想定、すなわち二次評価で行うとされている想定が問題となる旨の意見が出ている。
 さらに、二次評価については、原子力安全・保安院から、電気事業者に対し、昨年末までに報告を行うよう指示が出ているが、現在に至るまで、どの電気事業者からも報告はない。
1 班目委員長が記者会見などの場で「一次評価だけでは安全性は確認できない」と述べている点に鑑みれば、一次評価により再稼動の可否を判断することはできないのではないか。
2 二次評価の報告について、期限から三か月近く過ぎても電気事業者から報告がないのはなぜか。また、このような状況に対して、政府はどのように対処するつもりか。

二 耐震バックチェックの制御棒挿入性評価及び活断層の連動評価について

 三月十三日に開催された原子力安全委員会の第五回発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価検討会において原子力安全・保安院が「総検第五-三号」として示した資料の中には、久木田委員の質問に対する回答として「制御棒の挿入性について」との項目があり、「関西電力は、大飯三、四号機の耐震バックチェックにおける制御棒挿入性評価を進めていたところ、その評価が完了したとしており、その結果については、許容値二・二秒に対して一・八八秒(地震による遅れ時間〇・二三秒)で挿入されるとしている(添付-二)」とある。この「添付-二」の資料(計一頁)には一・八八秒という数値を含む評価結果表が示されているが、それには日付も出所も書かれていない。
 同検討会の速記録によると、原子力安全・保安院安全審査課の説明者は、「制御棒挿入性の評価が二月下旬ぐらいに完了したということで今回、私どもその結果を聞き取りいたしまして、その結果を添付二ということで記載してございます」と述べている。
 大飯原発三・四号機の耐震バックチェックについては、関西電力は二〇〇九年十二月までに制御棒挿入性を含む構造設計について中間報告を提出し、その後、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の耐震構造設計小委員会における一年近い審議を経て、原子力安全・保安院は、二〇一〇年十一月二十九日に評価書をまとめている。制御棒挿入性評価について、中間報告では、基準地震動Ssにおける発生値は二・一六秒とされ、これが評価基準値二・二秒と比較されており、原子力安全・保安院も、これらの数値に基づいて評価を行っていた。
1 原子力安全委員会の第五回発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価検討会において原子力安全・保安院が「総検第五-三号」として示した資料の中の「添付-二」の資料について、出典、作成者、日付及び作成の意図を明らかにされたい。
2 前記1の「添付-二」の資料に関するデータについて、原子力安全・保安院は、いつ、誰から、どの部署が入手し、どのような説明を受けたのか。
3 前記1の「添付-二」の資料について、原子力安全・保安院は、どのような審査、検討を行ったのか。
4 大飯原発三・四号機の耐震バックチェックの中間報告では、制御棒挿入の評価値は二・一六秒とされ、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の耐震構造設計小委員会での審議を経て、当該数値は評価書にも盛り込まれた。この二・一六秒という数値は、現在も有効な値か。
5 原子力安全・保安院は、原子力安全委員会の第五回発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価検討会において、制御棒挿入時間について、なぜ二・一六秒ではなく一・八八秒と示したのか。耐震バックチェックの審議及び評価を否定したのか。
6 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の意見聴取会では、委員全員が、関西電力に対し、大飯原発三・四号機の耐震安全評価に際しては、発電所周辺のFoA断層、FoB断層及び熊川断層の三つの断層の連動も考慮すべきとの意見を出している。三つの断層の連動を評価した場合、制御棒挿入性評価において、地震による発生値が許容値を上回る可能性がある。耐震安全評価を行うに当たっては、三つの断層の連動も考慮させるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
7 三つの断層の連動を考慮した場合、地震時の制御棒の挿入時間が、基準評価値を上回る可能性がある。その場合には、当該原子力発電所の運転はできないということで間違いないか。

三 大飯原発三・四号機の再稼動に関わる地元合意の範囲について

 原発再稼動に際して地元合意が必要な対象の中には、少なくとも防災協定を結ぶ自治体が含まれると考えるがいかがか。福井県小浜市、滋賀県及び京都府は含まれるか。

四 ストレステストの判断基準と地震による配管・機器の破損の可能性について

 ストレステストの一次評価の判断基準として、原子力安全・保安院は審査書において、「同(福島第一)原子力発電所事故のような状況にならないことを技術的に確認する」としている。
1 東京電力福島第一原子力発電所事故の実態は十分に把握されていない現状にある。同事故において配管や機器が地震により破損した可能性について、実態調査に基づく判断はできず、否定することはできないのではないか。
2 東京電力福島第一原子力発電所・一号機の入口付近で、東日本大震災当日の十七時五十分に線量計が振り切れた原因について、政府の事故調査・検証委員会の中間報告の百四頁では、「原子炉圧力容器内の核燃料から通常よりも多くの放射性物質が放出され、それが建屋内に漏洩したということ以外に考え難い」と述べている。その場合、原子炉圧力容器内の放射性物質が格納容器外に放出されるルートとしては、非常用復水器(IC)系配管の破損以外に考え難いのではないか。他にどのようなものが考えられるのか、具体的に示されたい。
3 前記2について、仮に圧力容器内の放射能により線量計が振り切れたとする場合、ガンマ線が分厚いコンクリート壁などを突き抜けて、それだけの影響を与える確証はあるか。また、前記2のとおり、この時点で原子炉停止から約三時間が経過しているため、放射能レベルは通常運転中の同レベルよりはるかに低いはずであるが、通常運転中に運転員が出入りする際に、線量計が振り切れることはよくあるのか。

  右質問する。