質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四七号

薬物事犯の執行猶予者に対する保護観察体制の拡充に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十二月七日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   薬物事犯の執行猶予者に対する保護観察体制の拡充に関する質問主意書

 平成二十二年の薬物事犯による検挙人員は一万四千五百二十九名で、その九十八パーセントを占める覚せい剤事犯及び大麻事犯の中での初犯者は、それぞれ、四千八百七十九名及び千八百三名となっており、その多くが実刑ではなく全部執行猶予となっている。
 昨年四月二十二日の参議院外交防衛委員会での私の質問に対し、平成二十年の覚せい剤取締法、大麻取締法その他麻薬特例法の各違反被告事件において執行猶予判決を受けた者の総数が五千七百九十八名であり、その大半を占める覚せい剤取締法違反の者のうち保護観察付きの執行猶予の判決が確定した者が三百七十六名、その保護観察中に実施される「覚せい剤事犯者処遇プログラム」を受けた者の数は、平成二十年は百五十七名(六月から十二月までの合計)、平成二十一年は三百四十五名と、ともに執行猶予判決を受けた者のごく一部に留まっている状況が法務副大臣から答弁されている。
 現在、刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案が国会で審議されている。これらは実刑判決を受ける薬物事犯の再犯防止のための一歩であるものの、約半数の初犯者で全部執行猶予となっている者に対する再犯防止策の拡充も併せて行うことが求められている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 平成二十二年の覚せい剤取締法、大麻取締法その他麻薬特例法の各違反被告事件において執行猶予判決を受けた者の数、そのうち保護観察付きとなった者の数及び「覚せい剤事犯者処遇プログラム」を受けた者の数を、それぞれ明らかにされたい。

二 薬物事犯の初犯者に対しても、保護観察付きの執行猶予及び「覚せい剤事犯者処遇プログラム」の対象を拡大していくことが、その再犯を防ぐためにも有効と考えるが、野田内閣の見解を示されたい。また、その拡大を図るためにどのような対策を取ってきているのか。特に、未成年者に対する「覚せい剤事犯者処遇プログラム」などの支援の対象拡大等の改善策を含めた野田内閣の方針を示されたい。

三 今般の刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案が成立し、同法が施行された場合、薬物事犯の保護観察者がどの程度増大すると見込んでいるか。法施行前の現状と、例えば施行数年後の見込みを対比して示されたい。

四 今般の法改正に併せて、政府は薬物事犯の保護観察者への支援体制の拡充を図るとしているが、その概要を示されたい。また、そのような支援体制の拡充は、薬物事犯初犯者の全部執行猶予者の保護観察の拡大に対しても行うべきと考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。