質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第九〇号

内閣参質一七七第九〇号
  平成二十三年三月四日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員上野通子君提出公私間格差を拡大する高校授業料無償化制度の廃止と私学助成の拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員上野通子君提出公私間格差を拡大する高校授業料無償化制度の廃止と私学助成の拡充に関する質問に対する答弁書

一について

 先の答弁書(平成二十三年二月十五日内閣参質一七七第四七号)においては、文部科学省が毎年度各都道府県に対して行っている調査により把握しているところに基づき答弁を行ったところであるが、都道府県の一部から報告された内容に誤りがあったため、答弁書に記載した内容が一部実態と異なることとなったことは遺憾である。今後同様の調査を行うに当たっては、都道府県に対して報告内容の正確性の確認を促すなど、正確な調査の実施に十分留意してまいりたい。
 先の答弁書提出後、文部科学省が各都道府県に対して改めて行った調査(以下「再調査」という。)により把握した平成二十年度から二十二年度までの各年度における私立の高等学校の全日制の課程に係る授業料等の額(生徒一人当たりの授業料その他の納付金(入学料を除く。)の額をいう。以下同じ。)の都道府県ごとの平均額については、文部科学省のホームページにおいて公表しているところである。

二について

 再調査によれば、平成二十二年度における私立の高等学校の全日制の課程に係る授業料の額の全国の平均額について、平成二十一年度における平均額と比較した場合の増加率は、約四・九パーセントである。また、再調査によれば、私立の高等学校の全日制の課程に係る授業料等の額に入学料の額を加えた額の全国の平均額の増加率は、平成二十二年度と平成二十一年度を比較した場合及び平成二十一年度と平成二十年度を比較した場合のいずれについても約○・六パーセントであり、大きな変化はない。
 高等学校等就学支援金は、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成二十二年法律第十八号。以下「法」という。)により、私立の高等学校等の生徒等に対し、その授業料に充てるために支給することとされているものであり、授業料以外の納付金を対象とすることは考えていない。なお、これらの者の授業料以外の納付金に係る経済的負担の軽減については、各都道府県において、地域の実情に応じて、高等学校等の生徒等に対する奨学金事業が行われているところであり、政府としては、こうした都道府県の取組に対し、当該奨学金事業に係る資金の交付、平成二十一年度補正予算による高校生修学支援基金の設置といった支援を行っているところである。

三について

 私立の高等学校の授業料等の額の設定については、その設置者の権限と責任において行われるものであるが、高等学校等就学支援金の支給に関する制度は、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図ることを目的として導入されたものであることから、政府としては、先の答弁書一及び二についてでお答えしたとおり、当該制度の導入に伴って、合理性のない授業料の値上げを行うことは望ましくないことであると考えている。

四について

 高等学校等就学支援金は、家庭の状況にかかわらず全ての意志ある高校生等が安心して教育を受けることができるよう、その経済的負担の軽減を図ることが必要であること等に鑑み、支給対象者について所得制限を設けないこととしているものであり、「受給資格に所得制限がないことなどの重大な欠陥がある」との御指摘は当たらないものと考えている。政府としては、現行制度を廃止することは考えていない。なお、法附則第二項の規定を踏まえ、今後、法の施行の状況を勘案し、適切に対応してまいりたい。

五について

 文部科学省としては、私立の高等学校等の経常的経費に対して都道府県が行う助成事業に対する国庫補助のため必要な予算の確保に引き続き努めてまいりたい。