質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第七〇号

内閣参質一七一第七〇号
  平成二十一年三月六日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出障害者基本法改正における中央障害者施策推進協議会に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出障害者基本法改正における中央障害者施策推進協議会に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 障害者施策推進課長会議が平成二十年十二月二十六日に取りまとめた「障害者施策の在り方についての検討結果について」においては、障害者の権利に関する条約(仮称)(以下「本条約」という。)の締結に際し必要と考えられる障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の改正事項として、中央障害者施策推進協議会(以下「中央協議会」という。)について、「障害者施策に関する調査審議、意見具申及び施策の実施状況の監視等の所掌事務を追加する」こと及び「関係行政機関に対する資料提出等の協力の要請ができることとする」ことを挙げている。これらの改正により、「国内機構の地位に関する原則」(以下「パリ原則」という。)を考慮に入れる旨の規定を含む本条約第三十三条2の規定を実施することが可能であると考えている。

三から五までについて

 本条約第三十三条2においては、締約国が、その実施を促進し、保護し、及び監視するための枠組み(適当な場合には、一又は二以上の独立した仕組みを含む。)を自国内において維持し、強化し、指定し、又は設置することとし、その場合にはパリ原則を考慮に入れる旨規定されている。
 御指摘のパリ原則においては、「構成並びに独立性及び多様性の保障」として、多元的な代表の確保、活動の円滑な運営にふさわしい基盤及び一定の任期を定めた公的な任命に触れられているところ、中央協議会については、障害者基本法第二十五条第二項において、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから委員が任命されることとなっている。また、その運営に必要な予算が確保されてきており、かつ、その委員は、内閣総理大臣により二年の任期をもって任命されている。さらに、一及び二についてで述べた改正が実現すれば、中央協議会は障害者施策に関する調査審議、意見具申及び施策の実施状況の監視等の所掌事務が追加され、並びに関係行政機関に対する資料提出等の協力の要請を行うことができることとなることから、運営における独立性も確保されることとなる。
 これらの点から、中央協議会により、パリ原則を考慮に入れる旨の規定を含む本条約第三十三条2の規定を実施することが可能であると考えている。

六について

 中央協議会については、三から五までについてで述べたとおり、パリ原則を考慮に入れる旨の規定を含む本条約第三十三条2の規定を実施することが可能であるようなものである必要があると考えている。
 一方、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条の規定に基づく「外局」は、事務の性質、事務量の規模等を踏まえて、必要に応じて設置されるものであり、組織、業務運営における本府からの独立性については、それぞれの外局の性格に応じて定められているものである。

七について

 障害者基本法第二十五条第二項において、「中央協議会の委員は、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。この場合において、委員の構成については、中央協議会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた協議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。」と規定されており、現在任命されている二十九名の委員のうち過半数である十六名が障害のある者又はその家族であるとともに、障害の多様性も反映した構成としていることから、市民社会(特に、障害者及び障害者を代表する団体)による関与及び参加が十分確保されているものと考えている。したがって、障害者基本法第二十五条第二項の改正並びに委員の任命方法及び委員構成の変更を行わなくても、本条約の締結は可能であると考えている。

八について

 障害者基本法第二十五条第二項において、「委員の構成については、中央協議会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた協議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。」と規定されており、現在任命されている二十九名の委員のうち過半数である十六名が障害のある者又はその家族であり、今後とも、中央協議会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた協議を行うことができるよう適切に運営してまいりたい。

九について

 中央協議会の庶務を含めた障害者施策を担当する職員の数について見通しを述べることは困難であるが、本条約の批准の後も、引き続き、必要な職員の確保に努めてまいりたい。

十について

 平成二十一年度予算案においては、中央協議会の開催回数を四回増やすことを見込んでいる。