質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三一号

選挙の投票率を向上させるための施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月十七日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   選挙の投票率を向上させるための施策に関する質問主意書

 我が国の選挙権及び被選挙権は、日本国民が等しく持つ政治参加の権利のひとつであり、多くの国民が投票することによって、民主主義国である日本の政治の正当性が担保されている。
 ところが、日本国民が実際にどの程度投票しているのかを見てみると、日本では六割台の投票率で「まずまず」とされる状況にある。ヨーロッパ諸国では八割、九割台の投票率も珍しくないことと比べると、日本の投票率はきわめて低いといわざるを得ない。
 一般的には、特に二〇歳代の投票率が低いといわれており、この傾向は報道機関による調査結果などにも現れている。このような投票率の低さは、選挙で代表を選ぶという民主主義を政治制度として採用する我が国の国家としての存立基盤を揺るがしかねない問題であり、投票率を向上させ、より多くの国民が参政権を行使する状況を作り出す政策が求められている。
 よって以下質問する。

一 直近の国政選挙の統計については、総務省自治行政局選挙部発行の「平成19年7月29日執行第21回参議院議員通常選挙結果調」があるが、これには年齢別投票率が記載されておらず、男女別投票率も全体のものしか記載されていない。投票率の向上を図るならば、少なくとも地域別に年齢別、男女別の投票率を公表し、その分析を行うべきものと思われる。政府として、国民の投票行為についての分析を行っているのか確認したい。また、昨年の参議院選挙の年齢別(世代別)、男女別の投票率を地域別(都道府県別)に示されたい。

二 選挙執行時には、国や各自治体の選挙管理委員会が投票の啓発活動を行っている。この啓発活動は必要なことではあるが、単に投票を呼びかけるだけの啓発活動に対しては、その費用対効果に疑問を持つ声も多い。そこで、昨年の参議院選挙において、投票率を向上させるための費用として、政府はどのような啓発活動にどの程度の予算を使用したかを問う。また、地方自治体の選挙管理委員会が啓発活動を行うにあたっての費用を政府が支給もしくは補助している場合は、その額と用途についての制約についても説明を求める。

三 投票率を向上させるためには、選挙権をはじめとした国民の参政権を、いかに教育するかを検討する必要がある。実際、アメリカでは、投票することの重要性を教えるだけでなく、自らの意見を主張する力、他者の意見を聞いて討議し合意を形成していくための方法、どの候補者に投票するかについて判断する力など、主権者として必要な素養を身につけるための教育、つまり「主権者教育」が行われている。日本では現在、どのような主権者教育が行われているのか、説明されたい。

四 今後、政府として主権者教育をどのように充実させていくつもりなのか、見解を示されたい。

  右質問する。