質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

イノベーションの日本語訳の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年九月二十五日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   イノベーションの日本語訳の見直しに関する質問主意書

 「イノベーション」は経済学の大家ジョーセフ・シュンペーターが唱えた概念であるが、わが国では一九六〇年の経済白書で「技術革新」と訳されて以来、その和訳が使われてきた。しかしながら、イノベーションは、シュンペーターの著書「経済発展の理論」においては、新結合(ニュー・コンビネーション)と定義されている。つまり、イノベーションとは新しい技術がなくとも、既存の企業資源を新しく組み合わせ新しい価値を生み出すことを指す。例えば、新しい生産方式にすること、新しい組織を作ること、新しい仕入先を開拓すること、新しい販売先を開拓すること、新しい製品・サービスを生み出すことなどを創出することを指している。
 「技術革新」は、「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成十六年六月四日法律第八十一号)」、「知的財産基本法(平成十四年十二月四日法律第百二十二号)」、「産業技術力強化法(平成十二年四月十九日法律第四十四号)」、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(平成十一年三月三十一日法律第十八号)」、「産業活力再生特別措置法(平成十一年八月十三日法律第百三十一号)」などで使われている。これらの法律における「技術革新」の使われ方を見ると、多くの場合が技術に限定したものでなくシュンペーターが指摘する広義な新しい取り組み全般を指している。また、政府においては、イノベーションということばをそのまま使い始めており、例えば、総務省設置法に基づく総務省組織規則第三十七条においては、「イノベーション推進官」とイノベーションをそのまま使っている。これらを踏まえ以下質問する。

一 「イノベーション」という長いカタカナは使い難く、明確な日本語化を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 中華人民共和国では、イノベーションを「創新」と訳しており、「技術革新」よりも本来の意味に近いと考えるが、政府の見解を示されたい。また、経済的・文化的に中華人民共和国との交流は深化をしつつあり、同じ訳語を使うことは大きな意味があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。