質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六〇号

独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十一月十九日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月 殿



   独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する再質問主意書

 私は、独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する質問主意書(第一六八回国会質問第三四号)に対する答弁書(以下「前回答弁書」という。)を受領したが、質問の趣旨をはぐらかす答弁が多く、独立行政法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)と特許特別会計の関係についてなお疑義が残るので、以下再質問する。
 なお、以下の質問については、これまでの答弁書のように経済産業省や産総研の個別見解ではなく、知的財産の推進を国家戦略として打ち出している政府全体としての見解を明らかにされたい。また、同様の文言が並ぶ場合であっても、質問項目ごとに答弁されたい。

一 前回答弁書の二について、正確な答弁がされていないので、改めて質問する。

1 極低温電界放射型透過電子顕微鏡は、特許生物寄託制度のために使われたと経済産業省は認識しているとのことだが、財務省においても、極低温電界放射型透過電子顕微鏡の高額な賃貸借料を特許特別会計から支出したことは妥当であったと認識をしているか明らかにされたい。
2 極低温電界放射型透過電子顕微鏡によって創出された保存技術の高度化は、従来法による保存技術に比べいかなる技術開発が図られたのか明らかにされたい。
3 前記2の新技術は具体的にどのように特許生物寄託制度に貢献し、寄託者に具体的にどのような利便性等を提供できているのか。また、コストの削減や手数料の値下げにどのように反映されたのか。それぞれ具体的に明らかにされたい。

二 前回答弁書の三について、明確な答弁がされておらず再度質問するので、明瞭に答弁願いたい。

1 極低温電界放射型透過電子顕微鏡は、導入当初から特許生物寄託制度とは無関係の業務に主として使用されてきたのではないか。政府の認識を明らかにされたい。
2 前回答弁書の三で明らかにされたように、極低温電界放射型透過電子顕微鏡の設置場所は、当初より一貫して特許生物寄託センターの建物の外の、一九九五年に整備したいわゆる生物情報棟の高度耐震室と承知しているが事実かどうか明らかにされたい。
 また、当該室の設置は当初から極低温電界放射型透過電子顕微鏡の導入を想定したものではないのか。その後一般会計で当該機器の導入を目論んだが不備に終わったため特許特別会計の流用を図ったのが真相ではないのか。それぞれ事実かどうか明らかにされたい。
3 仮に微生物の凍結保存技術の高度化に資するための視覚化が必要としても、国産の汎用機器で十分であり、それは特許生物寄託センター内にある通常仕様の研究室に耐震台を置くことで十分であるとの指摘がある。この指摘に対する政府の見解を明らかにされたい。

三 前回答弁書の八において、一村信吾産総研理事は、日本エフイー・アイ株式会社との間で、試料室をヘリウムにより冷却できる透過型電子顕微鏡の購入を検討していたとの事実を明らかにしているが、旧工業技術院生命工学工業技術研究所(以下「旧生命研」という。)はそれをいつから検討してきたのか明らかにされたい。

四 特許特別会計を流用して、極低温電界放射型透過電子顕微鏡を導入する決定は、当時の工業技術院研究業務課中尾泰久総括班長と当時の生命工学工業技術研究所大箸信一所長及び曽良達生次長による協議の結果と聞いているが、これら当時の関係者にも政府の責任で聴取した上で、流用の有無についての政府の見解を明らかにされたい。

五 前回答弁書の六について、相手側のフィリップス・エレクトロン・オプティクス社の担当者は「覚書の類」の控えを持っていたとの情報がある。大箸所長、曽良次長両名がどうしても「覚書の類」について思い出せないとのことであれば、経済産業省から日本エフイー・アイ株式会社に調査依頼をしてはいかがか。政府の認識を示されたい。

六 前回答弁書の五についても、明確な答弁がされていないので再度質問する。
 当時の細野邦明特許生物寄託センター長と宮本宏企画室長との間で合意されたメモの控えは、本年十一月九日に私の事務所から経済産業省の担当者に手交したところである。このメモにおいて、特許生物寄託センターにおける極低温電界放射型電子顕微鏡の使用予定が明確に否定されていると認識するが、このことについて財務省、経済産業省も含めた政府の見解を明確にされたい。

七 前回答弁書の十一では、極低温電界放射型透過電子顕微鏡の賃貸借、購入に係る支出は特許特別会計の無駄遣いではないとの経済産業省の認識が示された。では旧生命研が特許特別会計からの予算で購入し、特許生物寄託センター以外の場所に設置され、主として寄託業務に無関係の目的に使われている次の1から7までの旧生命研の備品については、特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用とみなすべきではないのか。調査の上、財務省も含む政府全体としての見解を次の1から7までの備品について個別に明らかにされたい。

1 一九九八年十月十四日に千三百六十三万四千二百五十円で購入した画像処理装置(二次元画像分光システム、資産管理番号「00AB4576」、旧生命研における備品番号「L0K00656」、二〇〇〇年当時、生物遺伝子資源研究部門の丸山明彦氏が管理責任者)
2 一九九八年十月八日に千二百二十三万四千四十四円で購入した高性能顕微鏡システム(カールツァイス製Axioplan2MOTシステム、資産管理番号「00AB4706」、旧生命研における備品番号「L0E00232」、二〇〇〇年当時、生物遺伝子資源研究部門の丸山明彦氏が管理責任者)
3 一九九四年三月二十八日に二百五万二千七百四十五円で購入した超低温槽(日本フリーザーBFU-五〇〇、資産管理番号「00AE4949」、旧生命研における備品番号「L0H00094」、二〇〇〇年当時、分子細胞工学研究部門の三ツ井洋司氏が管理責任者)
4 一九九一年十月九日に四百五十五万二千六百円で購入した高速液体クロマトグラフ(FPLCシステム、資産管理番号「00AE4594」、旧生命研における備品番号「L0DF2180」、二〇〇〇年当時、ジーンディスカバリー研究センターの今村亨氏が管理責任者)
5 一九九〇年十二月十四日に四百三十四万六千六百円で購入した顕微鏡(資産管理番号「00AE4911」、旧生命研における備品番号「L0GF0144」、二〇〇〇年当時、分子細胞工学研究部門の岡修一氏が管理責任者)
6 一九八八年一月二十一日に六百四十万円で購入した超遠心分離器(日立製、資産管理番号「00AE4299」、旧生命研における備品番号「L0CF0455」、二〇〇〇年当時、分子細胞工学研究部門の石田直理雄氏が管理責任者)
7 一九八七年十二月二十五日に九百万円で購入した高速流体クロマトグラフ(資産管理番号「00AE4586」、旧生命研における備品番号「L0DF1861」、二〇〇〇年当時、ジーンディスカバリー研究センターの浅田真弘氏が管理責任者)

八 前記七は一九九八年以前に購入した設備、機材であるが、その後においても同様に特許特別会計からの予算で購入しておきながら、特許生物寄託センターの外に設置され、産総研の他の部署が管理責任者となって主に使用している設備、機材があるのではないか。調査の上、その有無について明らかにされたい。また、そのような設備、機材がある場合は、その名称、購入金額と購入年月日、並びにどの部署が主に利用しているか一覧表でもって示されたい。

  右質問する。