質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

テロ特措法の運用及び目的に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年九月十日

白 眞勲   


       参議院議長 江田 五月 殿



   テロ特措法の運用及び目的に関する質問主意書

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(以下「テロ特措法」という。)は、本年十一月一日に活動期限が到来する。これを踏まえ、以下のとおり質問する。
 なお、答弁に際しては、質問をくくって答えることなく、各質問に対して個別に答弁されたい。また、本質問主意書で使用する用語が不明確等の理由で答弁を控えることなく、常識の範囲内で一定の前提を置いた上で答弁されたい。

一 テロ特措法に基づく具体的な活動について

1 テロ特措法に基づく艦船による補給及び輸送活動は、どのような種類の艦船に対して行われているのか。①駆逐艦、②巡洋艦、③航空母艦、④輸送艦、⑤補給艦、⑥フリゲート艦、⑦その他(具体的な艦船の種類も明記のこと)の分類に応じて、明らかにされたい。また、政府はそれぞれの艦船に対する補給及び輸送活動に関する画像又は映像を保有しているか否か明らかにされたい。
2 仮に航空母艦に対する補給が行われている場合、テロ特措法の目的との関係でどのように貢献しているのか。国際的テロリズムへの対応との関係を明確にした上で明らかにされたい。
3 輸送艦又は補給艦への補給を行っている場合、当該輸送艦又は補給艦を通じて、更にどのような種類の艦船への補給がなされているのか明らかにされたい。この点を把握していない場合、我が国による補給を受けた艦船はその後どのような活動に従事することも可能ということになり、事実上テロ特措法の目的や対応措置は骨抜きになるものと思われるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 テロ特措法の法的側面について

1 テロ特措法第一条において、「平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃(以下「テロ攻撃」という。)が国際連合安全保障理事会決議第千三百六十八号において国際の平和及び安全に対する脅威と認められたことを踏まえ、あわせて、同理事会決議第千二百六十七号、第千二百六十九号、第千三百三十三号その他の同理事会決議が、国際的なテロリズムの行為を非難し、国際連合のすべての加盟国に対しその防止等のために適切な措置をとることを求めていることにかんがみ、我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため、次に掲げる事項を定め、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資すること」が目的として掲げられている。
(一) 前記目的にかんがみれば、テロ特措法に基づいて行われる対応措置に地理的範囲は存在するのか。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 閣議決定された対応措置に関する基本計画には活動の地域が限定されており、例えば協力支援活動の中の艦船による補給及び輸送活動については、我が国領域、インド洋(ペルシャ湾を含む。)、ディエゴ・ガルシア島、オーストラリア、インド洋沿岸及び我が国領域からこれに至る地域にある経由地・積卸地となる国の領域、前記の二地点間の艦船が通過する海域ということになっている。同基本計画からは、テロ特措法が対象とする国際的テロリズムは一定の地理的概念を含んでいると類推される。テロ特措法が対象とする国際的なテロリズムは、アフガニスタンを起源とする又はアフガニスタンで行われているもののみか。それともアフガニスタン以外の国を起源とする又はアフガニスタン以外の国で行われているテロリズムについての対応も含まれるのか。含まれる場合、その地理的外縁はどこか。それぞれ明らかにされたい。
(三) 艦船による補給及び輸送活動の範囲にペルシャ湾が含まれる理由を明らかにされたい。また、ペルシャ湾に隣接する地域又は国において、前記目的で述べるところの国際的テロリズムが存在していると考えるか明らかにされたい。
(四) イラクにおいて前記目的で述べるところの国際的テロリズムが現在行われていると考えているか。政府の見解を明らかにされたい。
2 政府として「不朽の自由」作戦はどのような目的を持っているものと考えるか。また、「不朽の自由」作戦は、イラクでの米軍の戦闘行為や我が国がサマーワで実施していた活動とどの程度関わりがあると考えているか。それぞれ政府の見解を明らかにされたい。なお、「米国や連合軍の活動でありお答えする立場にない」といった答弁は控え、我が国が現時点で積極的に参加している活動に関するものであるということを踏まえ真摯に答弁されたい。さらに、その関連で、テロ特措法に基づく艦船による補給及び輸送活動に関し、イラクにおける作戦のための活動を主たる任務とする他国の艦船に対して行われているものはあるか明らかにされたい。
3 ペルシャ湾内で補給した他国の艦船が、同湾を出ることなく活動していることはあるか。ある場合、そのような他国の艦船の活動はテロ特措法の目的との関係でどのように正当化されるのか。それぞれ明らかにされたい。また、他国の艦船の活動について答弁することが困難である場合は、ペルシャ湾内で補給し、同湾を出ることなく活動する他国の艦船の存在を仮定した上で、そのような艦船の存在が正当化されるか否かについて明らかにされたい。なお、「仮定の質問には答えられない」といった趣旨の答弁は控えられたい。
4 国民はテロ特措法の審議に際して、これまでどこで艦船による補給及び輸送活動を行ってきたのかということに非常に高い関心を持っている。そのような国民の高い関心にこたえる観点から、同法に基づく補給及び輸送活動を行った地点はどこか。具体的に地図上に示した上で明らかにされたい。なお、現在の活動について答弁することが困難な場合は、過去の活動に関するものでも差し支えないので、明らかにされたい。
5 政府として、テロ特措法の具体的な成果をどのように捉えているか。インド洋で捕捉したテロリスト等の人数等具体的な論拠を挙げながら、具体性を持って成果を示されたい。
6 七百回目の艦艇用燃料の補給は、どの艦艇に行ったのか。具体的な艦名と所属国を示されたい。

三 米軍ウェブサイトの記述について

 米海軍第五艦隊のウェブサイトには、昨年十一月二十七日に、我が国の補給艦「ましゅう」がドイツのフリゲート艦「シュレスヴィヒ・ホルシュタイン」に対して給油をした際、「海上自衛隊は米軍及び連合軍艦船に補給活動を行っており、そのおかげでこれらの艦船は『不朽の自由』作戦の枠内でアラビア海(ペルシャ湾)で活動することができる」との記述があり、また同時に第八護衛隊司令である杉原耕二一等海佐が「我々は連合軍艦船の作戦上の効率性を改善することに継続的に貢献していけるよう心から希望する」との発言をした旨の記述がある。なお、以下の答弁に際しては「米軍のウェブサイトに我が国は関知しない」との趣旨で答弁を避けることなく、国民の関心に十分にこたえることが民主主義の基本であるとの認識に立ち、最大限事実の正しい認識に資するよう答弁されたい。
1 この「シュレスヴィヒ・ホルシュタイン」への補給はテロ特措法に基づくものか明らかにされたい。
2 ここで言う「連合(国、軍)」とは何を指していると認識しているか明らかにされたい。
3 この「シュレスヴィヒ・ホルシュタイン」の活動はイラクでの連合軍の活動と関係を有していないと言えるか。そもそも、我が国が給油した「シュレスヴィヒ・ホルシュタイン」のアラビア海での具体的な任務はいかなるものと認識しているのか。それぞれ明らかにされたい。

四 防衛省の作成したパンフレットとDVDについて

 防衛省の作成した「国際テロの根絶と世界平和のためにテロ対策特措法に基づく日本の貢献」のパンフレットとDVDの発行数量、発行にかかる経費、作成業者名を具体的に明らかにされたい。

  右質問する。