質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第五八号

内閣参質一六四第五八号
  平成十八年五月三十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員木俣佳丈君提出政府開発援助のNGOへの委託に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員木俣佳丈君提出政府開発援助のNGOへの委託に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「ソフト事業」の意味が必ずしも明らかではないが、外務省が平成十六年度に実施した二国間政府開発援助の事業の実績額において、機材供与等を除く技術協力事業並びに人材育成及び啓蒙活動を主たる目的とする無償資金協力事業の額が占める割合は、約十一パーセントである。これらの事業における契約先の選定に際しては、一般競争入札を実施していない。

二について

 機材供与等を除く技術協力事業については、その実施機関である独立行政法人国際協力機構において、いわゆるプロポーザル方式、一般公募方式又は特命随意契約によりその契約先が選定されていると承知している。プロポーザル方式及び一般公募方式においては、公示された案件について関心の表明を行った非政府組織(以下「NGO」という。)を含む事業者等から提出された提案書の審査等を経て契約先が選定される。特命随意契約においては、業務に必要な技術を特定の事業者等のみが有していることが明らかである場合及び緊急の案件である等特別な事由がある場合に、特定の事業者等を指名し、提出された提案書の審査等を経て契約先が選定される。人材育成及び啓蒙活動を主たる目的とする無償資金協力事業については、被援助国政府が我が国政府との合意に基づき特命随意契約により契約先が選定される場合や、外務省が開発途上国で活動するNGO等からの申請を審査した上で契約先が選定される場合がある。

三について

 政府開発援助の評価については、国別及び重点課題別の政策に係る評価、分野別及び援助形態別のプログラムに係る評価並びに個別のプロジェクトに係る評価を行っており、その多くについては、評価の客観性及び公平性を確保するため、NGOを含む外部有識者並びに他の援助国及び被援助国の関係者の参加を得て実施している。なお、このような評価の実施については、当該政府開発援助事業の契約先の選定が一般競争入札によるものかそれ以外の方法によるものかで異なることはない。

四の1について

 政府開発援助において、NGOは、開発途上国の住民の多様なニーズに応じたきめの細かい開発支援及び緊急人道支援を実施する等、極めて重要な役割を果たしていると認識している。NGOは、政府及び関係機関と連携し、地域に根ざした支援を行うものと認識している。

四の2について

 外務省は、外務省設置法(平成十一年法律第九十四号)第四条第一号ハに規定する経済協力として、開発途上国で活動している我が国のNGOに対する日本NGO支援無償資金協力、開発途上国で活動しているNGO等に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力、NGOの事業実施能力及び専門性の向上のためのNGOに対するNGO事業補助金等において、NGOに資金を提供している。日本NGO支援無償資金協力、草の根・人間の安全保障無償資金協力及びNGO事業補助金においては、一般競争入札によってNGOが契約先に選定された事例はない。

四の3について

 政府開発援助に係る資金の対象とする事業及びその契約先については、外務本省又は在外公館がNGO等からの申請を受け、我が国の援助政策との整合性、住民への裨益効果、事業の持続性等の観点から審査を行い選定している。

四の4について

 政府開発援助において、NGOの知見等を一層活用していく方法について、今後とも検討してまいりたい。