質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第五八号

政府開発援助のNGOへの委託に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年五月十九日

木俣 佳丈   


       参議院議長 扇 千景 殿



   政府開発援助のNGOへの委託に関する質問主意書

 日本の政府開発援助の実施主体のほとんどは政府や政府機関であり、住民にとってより身近な存在であるNGOへの委託率はわずか二パーセント程度との指摘がある。一方、米国では、新しいアイデアでの事業展開と事業コスト削減のため、保健衛生などのいわゆるソフト事業の委託先を一般競争入札で選定しており、NGOへの委託率が三〇パーセントを超えていると聞く。
 「民間でできることは民間で」という方針のもと、民間の創意工夫を生かし、効率の良い行政を行うことが肝要である。政府開発援助にもこうした観点が求められていることから、今後はNGOへの委託率を高めるべきと考える。
 そこで、以下質問する。

一 外務省が行っている二〇〇四年政府開発援助実績のうち、インフラ整備等ではなく、エイズ予防広報や人材育成などのいわゆるソフト事業の占める割合は何パーセントであるか、二国間援助について示されたい。またその中で、一般競争入札による契約は何パーセントになるかも示されたい。

二 一般競争入札を行わない場合、契約先はどのように選定されるのか。選定過程、基準等を具体的に示されたい。

三 政府開発援助をより良いものにするためには、事業実施に関する評価を行うことが不可欠と考えるが、二国間援助についての評価はどのように行われているのか。一般競争入札とそれ以外の契約方法で異なっているのであれば、契約方法ごとに具体的に示されたい。

四 外務省のホームページによると、政府は日本のNGOが途上国で実施する事業に政府資金の提供をしており、二〇〇四年には我が国のNGO四六団体が三二か国で行った七二件の事業に対して、約一〇億四〇〇〇万円の資金を提供しているという。

1 政府開発援助においてNGOが果たしている役割、また、政府や政府機関の役割とのいわば棲み分けについて、政府の認識を示されたい。
2 政府開発援助において外務省がNGOに資金を提供する場合、どのような制度によって実施されているのか、その枠組み及び法令上の根拠も含めて具体的に示されたい。そのうち、一般競争入札によって選定された事例の有無についてもあわせて示されたい。
3 政府資金を提供した事業及び団体はどのように選定されたのか。選定過程、基準等を具体的に示されたい。
4 政府開発援助にNGOの経験とノウハウを活用する方策として、政府(JICAを含む。)が直接運営しているプロジェクトについてもNGOに一般競争入札で委託するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。また、委託率を高めるためには、具体的な数値目標を定めるべきと考えるが、あわせて見解を示されたい。

  右質問する。