質問主意書

第163回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一六三第一三号
  平成十七年十一月四日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員小林美恵子君提出雇用促進住宅の廃止・譲渡に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小林美恵子君提出雇用促進住宅の廃止・譲渡に関する質問に対する答弁書

一について

 雇用促進住宅は、独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)が運営を行っているものであり、平成十七年九月三十日現在、四十七都道府県において、千五百三十四宿舎、十四万二千三百六十四戸存在しており、宿舎の所在地及び概要については、財団法人雇用振興協会(以下「協会」という。)のホームページにおいて公表されているところである。お尋ねの物件ごとの入居実態、入居者の年齢構成状況、入居者世帯の収入階層状況等の具体的な現状、整理合理化計画の全容並びに耐震診断及び耐震補強工事の具体的な計画は網羅的には把握していない。

二及び五について

 御指摘の「雇用促進住宅入居者の居住権の保障」及び「雇用促進住宅入居者の諸権利を保障する方針」が何を指すのか必ずしも明らかではなく、また、お尋ねの雇用促進住宅の廃止の際の入居者の救済策については、入居者と機構の間の建物賃貸借契約や借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定等に基づき機構において処理されるべきであると考えているが、雇用促進住宅の譲渡や廃止に当たって入居者の意向を聴き、説明を行うこと等の入居者への対応については、譲渡や廃止に際しての他の諸課題と併せて厚生労働省職業安定局において雇用促進住宅基本課題検討会を設置し、検討を行ったところである。機構においては、同検討会が平成十五年五月に取りまとめた報告書を踏まえ、譲渡を行う際には、所有者が変わることが入居者の権利義務に直接影響しないこと等について入居者への十分な説明を行うほか入居者の意向も聴くとともに、譲渡先が決まらず廃止する際には、建物賃貸借契約の内容が同法第三十八条に規定する定期建物賃貸借である入居者に対しては、当該契約の期間の満了とともに再契約をせずに退去を求めることとし、その他の入居者に対しては、あらかじめ数年前から当該入居者に係る雇用促進住宅の廃止予定年度を示して理解を求め、廃止予定年度が経過した場合には、解約を申し入れ、入居者の意向も聴きつつ、必要に応じて移転料や立退料を支払って他の雇用促進住宅や民間の賃貸住宅等への移転を促していると承知している。

三について

 機構からは、これまでに廃止した宿舎はないが、十四か所において宿舎の一部を廃止したと聞いており、これらの物件ごとの具体的経緯については把握していない。

四の1について

 機構からは、大阪府八尾市における雇用促進住宅については、耐震調査結果を踏まえ、老原宿舎の一棟においては、平成二十年三月末までに入居者に対して退去を求め、退去までの間の安全を確保するため、壁や柱に関し応急的な補強工事を実施し、他の棟については、長期的な使用を可能とするための補強工事を実施すると聞いている。また当該一棟について、住民に対する退去や工事に関する説明会が実施され、その際には、移転料の引上げや退去期間の延長についての要望があったと聞いている。住民の要望については、機構が適切に対応すべきであると考えており、本件についての機構及び協会の具体的な対応方針は把握していない。
 また、同市における老原宿舎以外の雇用促進住宅に関する住民の要望についても、機構が適切に対応すべきであると考えており、当該住宅に関する整理合理化計画及び耐震補強工事計画の具体的状況、この件に関する住民説明会の経緯並びに住民の要望の具体的内容及びその要望に対する機構及び協会の具体的対応方針については把握していない。

四の2について

 別宮宿舎については、機構からは、平成二十年度に廃止する予定であると聞いているが、別宮宿舎の運営は機構において適切に行われるべきであると考えており、御指摘の回答について確約する立場にない。

四の3について

 雇用促進住宅に関する移転料については、入居者と機構の間の建物賃貸借契約や借地借家法の規定等に基づき機構において処理されるべきであると考えている。