質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第四七号

米軍横田基地に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年七月二十九日

井上 美代   
緒方 靖夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   米軍横田基地に関する質問主意書

 米軍横田基地は、米第五空軍司令部や在日米軍司令部等が置かれ、輸送や補給のための約三三〇〇メートルの滑走路を持つ北東アジアにおける米軍の兵站拠点基地になっている。
 また、横田基地は、米空母艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)の基地にも使われることもあるため、軍用機の年間飛行回数は一五〇〇〇回を超えることが確認されており、基地周辺の数十万人が騒音被害を受けている。
 今年、滑走路の強化工事が終わり、基地機能は一層強化された。横田基地は、首都の人口密集地の中にあるため、軍用機の騒音に加え、基地内で行われる軍事演習によって基地周辺住民は様々な被害を受けている。
 このような状況にある米軍横田基地は撤去すべきであると考える。
 よって、以下質問する。

一、横田基地の航空機騒音に苦しむ周辺住民が国を相手取り航空機の夜間・早朝の飛行差止めを求めて起こした訴訟で、最高裁判所は本年四月十二日、我が国と合衆国との間に民事裁判権免除と異なる取決めがないことを理由に上告を棄却し、横田基地周辺住民が夜間・早朝の航空機騒音による人格権の侵害から逃れるためには、日本政府が合衆国政府と何らかの取決めをする必要があるとの判断を示した。

1 政府は、横田基地での航空機の夜間・早朝の飛行禁止について、合衆国政府と協定を結ぶべきではないか。
2 政府は、夜間・早朝の飛行禁止について、我が国の裁判所が住民を救済するための司法判断を下すことができるよう、これを民事裁判権免除の対象外とする取決めを結ぶべきではないか。
3 横田基地における米軍機の夜間・早朝の飛行活動が不法活動であることは、最高裁判決により司法判断として確定している。この司法判断に基づき、夜間・早朝の航空機飛行による騒音被害から住民を救済するために、政府はいかなる方策を採るつもりなのか明らかにされたい。

二、防衛施設庁は、横田基地騒音訴訟判決に基づいて、これまでに損害賠償金を原告住民に支払っている。日米地位協定上、騒音損害賠償金は米側が七五%、日本側が二五%になっている。それにもかかわらず、米側は日本側が立て替えて支払った米側の負担分を日本側に返済していない。
 政府は、これまでに日本側が立て替えて支払った損害賠償金の返済について、米側とどのような交渉を行い、どのような回答を得ているのか明らかにされたい。

三、横田基地で今年五月一五日、夜九時三〇分頃、異様な大音響のサイレンが約五分間続き、閃光も目撃された。これは横田基地内の訓練であるジャイアントボイス(拡声器放送)であったが、これに驚いた横田基地周辺住民から、周辺自治体に対して二二三件以上の問い合わせがあったということである。このような周辺住民に多大な迷惑を掛けた訓練があったばかりであるにもかかわらず、在日米空軍横田基地第三七四空輸団指令官は、横田基地周辺自治体に対して、横田基地での演習計画を連絡している。
 その演習計画によると、六月一七日から七月三日まで「運用即応演習」、八月一二日から一六日まで、九月九日から一三日まで及び一〇月七日から一一日までが「戦闘投入即応演習」、一一月一一日から一五日まで「戦闘投入即応監査」が行われるということである。これらの演習の内容を米軍から聞くなどして、詳しく明らかにされたい。

四、横田基地は、アメリカが海外で介入戦争を行う際、米軍の重要な拠点基地となるもので、日本の平和と安全を守る基地となるものではないと考える。また首都東京の人口密集地に存在するため軍用機の騒音問題などもあり、周辺住民、隣接自治体からも返還要求が出されている。
 政府は横田基地を返還させ、跡地を、騒音のない国民のための非軍事施設として使う措置を採るべきではないか。

  右質問する。