第151回国会(常会)
答弁書第三号
内閣参質一五一第三号 平成十三年二月二十七日 内閣総理大臣 森 喜朗
参議院議員照屋寛徳君提出米軍普天間飛行場における高出力電磁波事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員照屋寛徳君提出米軍普天間飛行場における高出力電磁波事故に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の件(以下「本件」という。)については、平成十二年六月十五日、那覇労働基準監督署長は、駐留軍等労働者(以下「労働者」という。)二名から、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付の請求があったことからこれを知ったが、通常、請求者のプライバシー等にかんがみ、保険給付の請求があったことを公表していないことから、これを公表しなかったものである。
二、六及び八について 御指摘の普天間飛行場のタカン施設(以下「本施設」という。)周辺で保安さく設置工事に従事中の四十歳の男性労働者(職種は石工)が、平成十二年五月二日午前十時ごろから約一分間、削岩機の電源を探すため、電波を発信するためのアンテナが設置されていた本施設の屋根の上をのぞいたと承知している。また、同工事に従事中の四十七歳の男性労働者(職種は石工)が、同月三日午後三時ごろから約四分間、工事全体の配置を見るため、本施設の屋根に上がったと承知している。
三について 在沖米海兵隊によると、本施設は、普天間飛行場の西側部分に位置し、幅約三メートル、奥行約二・四メートル、高さ約三・六メートルのコンテナ製の施設の屋根に高さ約二・四メートルのアンテナが設置されており、航空保安無線施設の一つとして、電波により航空機の航行を援助するためのものであったが、老朽化のため、既に撤去されているとのことである。 四について 在沖米海兵隊によると、お尋ねの工事は、本施設周辺に保安のためのさくを設置する工事であり、工期は特に定められていないが、平成十二年五月一日ごろから約一週間作業を行ったとのことである。 五について 在沖米海兵隊によると、本施設から発せられる電波が地上の人の身体へ影響を及ぼすことはないので、本施設周辺の地上で作業を行う場合であっても、通常、電源を切ることはないとのことであり、御指摘の作業においても、このような理由から電源を切らなかったとのことである。 七について 本件当時、本施設の壁面の三か所に、英文で「DANGER」又は「WARNING」等と書かれた警告板が設置されており、その後、和文で「警告、放射線、危険」等と書かれた警告板一枚及び英文で「CAUTION RADIATION HAZARD」等と書かれた警告板一枚が、追加して同じ壁面に設置されたと承知している。 九について 那覇労働基準監督署から協議を受けた沖縄労働局においては、当初、前記二名の労働者が電離放射線にさらされた疑いがあり、その発生源の調査が必要であると判断したため、普天間飛行場への立入検査等を行うべく那覇防衛施設局を通じて在沖米海兵隊に打診したところ、在沖米海兵隊から、不明な事項については資料をもって回答するとして、立入りについては同意が得られなかったものである。
十について 労働者に係る労働災害等が発生した場合、事故報告書が、アメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)から関係都県の渉外労務管理事務所等に提出され、これを受け、当該事務所長等は、業務上災害発生個人別報告書等を作成し、所轄の防衛施設局長等に報告することとなっており、当該防衛施設局長等は、当該労働災害等が労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十六条又は第九十七条に該当する場合は、これらの規定に基づき、所轄の労働基準監督署長に所要の報告を行っている。
十一について 御指摘の那覇防衛施設局長は、平成十三年一月二十三日、全駐留軍労働組合沖縄地区本部と団体交渉を行った際、前記二名の労働者が警告板の設置されている本施設に立ち入ったことに関して、安全対策上不完全な部分があったのかどうかを調査中である旨述べたものである。 |