質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

日出生台演習場における民間人による一五五ミリりゅう弾砲発射事件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年二月十五日

照屋 寛徳   


       参議院議長 井上 裕 殿


   日出生台演習場における民間人による一五五ミリりゅう弾砲発射事件に関する質問主意書

 沖縄では米海兵隊による県道一〇四号線を封鎖しての実弾砲撃訓練が長年行われていた。この県道越えの実弾砲撃訓練は、一〇五ミリ、一五五ミリりゅう弾砲を使用するもので極めて危険なものであり、山火事、水源地の汚染、流弾による人身事故や器物損壊、自然破壊や教育環境の破壊など様々な犠牲や被害を県民に強いるものであった。
 米軍のキャンプ・ハンセン演習場内で実施されていた海兵隊の一〇五ミリ、一五五ミリりゅう弾砲の実弾砲撃訓練は、今では大分県の日出生台演習場など五か所の演習場に移転された。沖縄県民が望んでいたのは、海兵隊による実弾砲撃訓練の移転ではなく廃止であった。実弾砲撃訓練による被害の苦しみを知っているがゆえに、「痛み」を拡散することを諒としなかったのである。
 一五五ミリりゅう弾砲は「原子砲」と呼ばれる核・非核両用の兵器である。ベトナム戦争のとき、ダナンへ上陸した海兵隊が持参した武器でもある。私は、一五五ミリりゅう弾砲の実弾砲撃訓練の絶対安全な条件を満たす演習場は、沖縄にも本土にもあり得ない、と考える。
 よって、本土の五か所の演習場で実施されている米海兵隊による一五五ミリりゅう弾砲の実弾砲撃訓練を直ちにやめるよう日米両政府に強く要求する。
 ところで、二〇〇一年二月九日に日出生台演習場で実施された米海兵隊による実弾砲撃訓練で、公開訓練に立ち会った民間人に一五五ミリりゅう弾砲を発射させるという事件が発生した。これは、単なる「不適切な出来事」ではなく、犯罪行為が惹起されたものと考えるべきである。同時に、米軍や防衛施設庁が安全性を無視し、安易に米軍の実弾砲撃訓練に民間人を参加させたものであり、厳しく糾弾されなければならない。
 演習場を提供してまで米軍の実弾砲撃訓練を容認してきた日本政府の責任は重大である。
 よって、以下の点について質問する。

一、日出生台米軍実弾砲撃訓練に際し、日本政府が負担した訓練移転費の額を明らかにされたい。なお、精算前であればその概算額を明らかにされたい。

二、日出生台米軍実弾砲撃訓練に際し設置された福岡防衛施設局現地対策本部の設置目的、本部委員の人数、任務役割、演習期間中の具体的な作業を明らかにされたい。

三、二〇〇一年二月九日の日出生台演習場における公開実弾砲撃訓練(以下「公開訓練」という。)に参加した米海兵隊員の兵員数、指揮官の氏名及び階級、使用した兵器、訓練に使用した車両等の数を明らかにされたい。

四、公開訓練には何名の民間人が参加したのか、その人数、所属肩書き、公開訓練参加に当たっての人選手続と選ばれた理由を明らかにされたい。また、公開訓練の目的を明らかにされたい。

五、公開訓練に立ち会った福岡防衛施設局職員の人数、肩書き及び当日果たした具体的な職務役割を明らかにされたい。

六、公開訓練の際、一五五ミリりゅう弾砲の「拉縄」と呼ばれる引き金を引いて発砲した者は、大分県玖珠町議会議員二名と民間人一名とマスコミで報道されている。発砲した三名の氏名、職業を明らかにされたい。また、なぜその三人が発砲したのか、その理由を明らかにされたい。

七、銃砲刀剣類所持取締法(昭和三十三年法律第六号)に定める「銃砲」の「所持」や「発射」を許された者以外の者が、自衛隊の演習場内で米軍の訓練用りゅう弾砲を「所持」し、「発射」することは同法並びに火薬類取締法(昭和二十五年法律第一四九号)違反ではないか。合法であるとするならその理由を明らかにされたい。また、自衛隊演習場内において米軍演習中に発生した日本人による犯罪行為について、日本政府の警察権は行使されるか明らかにされたい。

八、日本政府は、公開訓練の際に発生した民間人による一五五ミリりゅう弾砲発射事件について、いかなる調査をなし、どのような結果を得たか明らかにされたい。また、民間人による同発射事件の際、現場に居合わせ黙認した福岡防衛施設局職員の責任と防衛施設庁の監督責任についての調査結果を明らかにされたい。

  右質問する。