第150回国会(臨時会)
答弁書第一号
内閣参質一五〇第一号 平成十二年十月十七日 内閣総理大臣 森 喜朗
参議院議員照屋寛徳君提出米軍人・軍属等のマイカーに対する自動車税等の課税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員照屋寛徳君提出米軍人・軍属等のマイカーに対する自動車税等の課税に関する質問に対する答弁書 一及び二について 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十三条第三項及び第十四条第六項の適用を受ける者(以下「米軍構成員等」という。)の私有車両について、自動車税及び軽自動車税の賦課の対象となる平成十一年四月一日現在における車種別の車両台数並びにこれらに対する平成十一年度における自動車税及び軽自動車税の課税額は、別表のとおりである。なお、平成十二年四月一日現在の車両台数は把握していない。 三について 御質問の米軍構成員等の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税の課税に関しては、日米地位協定第二十五条第一項に基づき設置される合同委員会(以下「合同委員会」という。)の平成十一年二月の協議において、日米地位協定第十三条第三項及び第十四条第六項の規定に関し、我が国では、税率が各種の車両による道路使用度に対応していないので、米軍構成員等は、私有車両による道路の使用について次の金額を納付し、我が国の地方公共団体は、車両の所有者である米軍構成員等から当該金額を受領する旨合意されている。 普通乗用車 一万九千円(総排気量が四・五リットルを超えるものは、二万二千円)
四について 米軍構成員等は、日米地位協定第十三条第三項又は第十四条第六項の規定により、動産の保有、使用等についての我が国における租税を免除されるが、これらの規定は、私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではないとされている。
五について 平成十一年度に、米軍構成員等の私有車両に対し、地方税法に定める標準税率で自動車税及び軽自動車税を課税した場合の課税額を試算すると、全国で自動車税二十億三千七百四十一万円、軽自動車税八百七十三万九千円であり、実際の課税額との差は、自動車税十六億千六百二十三万円、軽自動車税四百九十九万千円である。 六について 日米地位協定第十三条第三項又は第十四条第六項の規定に照らして、米軍構成員等が保有する私有車両の自動車税及び軽自動車税については、財産税に相当する部分が免除されることとなる。
七について 標準税率と合意税率との差異があるからといって、直ちに国による補てんが必要な収入減が生じているものとは考えていない。なお、合意税率により課税されるべき自動車税又は軽自動車税に係る地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に規定する基準財政収入額は、合意税率で課税した場合の収入額を基礎として算定されており、標準税率と合意税率との差異は、基準財政収入額の算定上反映される仕組みとなっている。 八について 日米地位協定第十三条第三項又は第十四条第六項の規定に照らして、米軍構成員等が保有する私有車両の自動車税及び軽自動車税については、財産税に相当する部分が免除されることとなるが、このように米軍構成員等に対して租税のうち財産税に相当する部分を免除することについては、北大西洋条約機構(NATO)地位協定においても類似の規定が存在しており、国際的慣行にかんがみても均衡を失しているとは考えていない。
別表 米軍構成員等の私有車両の平成十一年四月一日現在における車種別の車両台数並びにこれらに対する自動車税及び軽自動車税の課税額 |