質問主意書

第150回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

米軍人・軍属等のマイカーに対する自動車税等の課税に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年九月二十八日

照屋 寛徳   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   米軍人・軍属等のマイカーに対する自動車税等の課税に関する質問主意書

 今年の七月、私が師事する前田哲男東京国際大学教授が「在日米軍基地の収支決算」(筑摩書房)なる本を出版した。この本の中で前田教授は、「日米安保条約にもとづく両国の同盟関係が、いったいどのような財政基盤、経費負担の下で運用されているかを分析し」、いわゆる「思いやり予算」の問題を中心に、日米安保のバランスシートを明らかにしている。
 同時に、この本の中では日米安保条約第六条の「基地許与」を具体化し、日本に駐留する米軍部隊の活動に必要な基地の提供、そして軍人・軍属・家族の権利や特典について定めた日米安保条約の付属協定ともいうべき日米地位協定の問題点についても多角的に分析している。
 ところで、沖縄県は二〇〇〇年八月、政府に対し「日米地位協定の見直しに関する要請」を行っている。この要請の内容は多岐に渡るが、ここでは米軍人・軍属らの私有車両に対する自動車税等の課税について、その仕組みを明らかにし、現行制度の改定を強く求めるものである。
 そもそも日米地位協定に基づく米軍人・軍属とその家族らに対する税金の免除などの経済的特権付与は、課税自主権などの経済主権がアメリカによって侵害されていると言わざるを得ない。主権国家として極めて由々しき問題である。
 一九五二年六月の日米合同委員会合意では「米軍人らの私有車両にたいしても日本国法が全面的に適用され、登録及び車両検査の業務は日本政府当局が行う」となっている。
 米軍人・軍属とその家族らの私有車両は、日本国民の私有車両と全く同じ方法で日本国内で運行の用に供されているにもかかわらず、それらの者に対する自動車税、軽自動車税を減額しなければならない合理的理由はない。
 以下、質問する。

一、二〇〇〇年四月一日現在の米軍人・軍属とその家族らが私有する車両台数及び車両の種別内訳台数について、全国と沖縄県とに分けて明らかにされたい。

二、一九九九年度実績で米軍人・軍属とその家族らが私有する車両に賦課された自動車税・軽自動車税額について、車両の種別ごとに全国と沖縄県とに分けて明らかにされたい。

三、米軍人・軍属とその家族らの私有車両に対する自動車税・軽自動車税等の課税について、日米合同委員会における合意内容を詳細に明らかにされたい。

四、米軍人・軍属とその家族らの所有する私有車両に対する税率はどのように決定されるのか。なぜ民間車両よりも著しく低い税率になっているのか、その理由を明らかにされたい。

五、一九九九年度課税実績で米軍人・軍属とその家族らの私有する車両に民間車両と同じ税率で課税した場合、自動車税・軽自動車税の差額はいくらになるか明らかにされたい。

六、政府は、米軍人・軍属とその家族らの所有する私有車両まで自動車税等を優遇し、軽減措置することが、我が国の安全保障と防衛に貢献するものであると考えているのか明らかにされたい。

七、国の要請に基づき行われた自動車税等の軽減措置によって生じた税収減分は、本来国が補てんすべきと考えるが、政府の考えを明らかにされたい。

八、沖縄県は「日米地位協定の見直しに関する要請」の中で、第十三条関係(租税)について「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税について、民間車両と同じ税率で課税する旨を明記すること」を求めているが、政府は、米国政府と日米地位協定の改正交渉をなし、沖縄県の右要請を実現する方策を有するのか明らかにされたい。

  右質問する。