質問主意書

第147回国会(常会)

質問主意書


質問第一七号

米国原子力軍艦のホワイト・ビーチ地区への寄港に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年三月八日

照屋 寛徳   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   米国原子力軍艦のホワイト・ビーチ地区への寄港に関する質問主意書

 アメリカの核軍縮団体である天然資源保護協会は、情報公開法による請求によって入手した米国防次官補室作成の「核兵器の管理及び配備の歴史、一九四五年から一九七七年九月まで」と題する機密解除文書を解析し、一九七二年の返還前の沖縄に千二百発以上の核弾頭・弾爆薬等が配備されていた、との論文(以下「核のあった場所論文」という。)を発表している。
 この核のあった場所論文は、『ブレティン・オブ・アトミック・サイエンティスト』(一九九九年十一月号、十二月号)という雑誌に掲載された。同論文によれば、沖縄だけでなく、日本本土にも一九六〇年代半ばまで核物質部分を取り除いた核弾頭容器が存在していた、とのことである。
 核のあった場所論文やそれに関するマスコミ報道を総合すると、沖縄に配備されていた核兵器は一八種類に及んでいる。そのうち核弾頭、八インチ核榴弾砲、核弾薬、対潜水艦核爆弾、核搭載ロケット砲、核搭載型地対空ミサイル、空対空ミサイル、一五五ミリ核榴弾砲の八種類の沖縄からの撤収は、一九七二年六月となっている。つまり、沖縄への核の配備が復帰後も続いていたことになる。非核三原則を国是とする我が国への復帰、平和憲法の下への返還後も沖縄に核兵器が配備されていたことは、明らかに非核三原則違反である。
 問題は、これらの核兵器が全て撤収されたかどうか、何の保証もないことである。政府は、沖縄県民にその保証を与える義務がある。私は、人類が核による威嚇と恐怖の連鎖を断ち、核廃絶の勇気を持つべきであると考える。我が国は米国の核の傘から脱却し、世界に向け、絶対に核武装しないことを宣言し、そのことを保証すべきである。
 核のあった場所論文によって、一九七二年五月十五日の沖縄返還時に沖縄には核兵器は存在しない、との日米両政府の発表が虚偽であったことが明らかになった。
 沖縄への核兵器の配備と関連して注視されなければならないのが、ホワイト・ビーチ地区への米国原子力軍艦の寄港問題である。「昭和六二年以降は増減を繰り返しながら全体的に増加傾向にある」(『沖縄の米軍基地』平成十年度版 沖縄県発行)と指摘される、その実態は明らかにされなければならない。
 以下、質問する。

一、米国原子力軍艦がホワイト・ビーチ地区へ寄港する際の日本政府、沖縄県、関係市町村への通報、連絡体制について明らかにされたい。

二、復帰後、二〇〇〇年二月末日までにホワイト・ビーチ地区へ寄港した米国原子力軍艦の寄港年月日、艦船名、寄港目的、艦船の排水量、全長、乗員数、停泊時間、停泊の形態(沖合か接岸か)を明らかにされたい。

三、米国原子力軍艦がホワイト・ビーチ地区へ寄港する前後の放射能汚染調査の実施機関、実施方法、実施結果報告書の作成及びその公表方法について明らかにされたい。

四、寄港した米国原子力軍艦から放射能放出事故が発生した場合の災害対策マニュアルの存否と内容について明らかにされたい。

五、平成十二年二月二十九日、沖縄県中頭郡勝連町議会で採択された「米合衆国原子力軍艦のホワイト・ビーチ寄港に反対する意見書」に対する政府の対応を明らかにされたい。

六、ホワイト・ビーチ地区に寄港する米国原子力軍艦の核兵器積載の有無について、政府はいかなる方法でチェックしているのか明らかにされたい。

  右質問する。