質問主意書

第126回国会(常会)

質問主意書


質問第一七号

障害者の健全子宮摘出問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成五年六月十七日

堀 利和   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   障害者の健全子宮摘出問題に関する質問主意書

 毎日新聞の六月十二日付け朝刊等で「国立大学病院の教授らが、障害者の正常子宮を摘出」と報道された。「生理の介護が大変」「性的誘惑に乗りやすく、被害に遭いやすい」等の理由で本人の了解なく行われており、同様の例は全国各地でおよそ三十例あるとされている。極めて非人道的な事例と考える。現在も同様の手術がヤミで横行しており早急な対応が望まれる。そこで以下の点につき質問する。

一 私の知るところでは文部省及び厚生省は、この件につき調査を進めていると聞くが、政府はこの事実について把握しているか。具体的な調査結果について該当大学名、担当教授名、手術時期、内容、症例数を含めて伺いたい。主意書への回答時点で判明している限りを各省庁ごとにできるだけ詳しく伺いたい。

二 摘出例について優生保護法、医師法、精神保健法、精神薄弱者福祉法、刑法(傷害罪等)、国家公務員法に照らして問題点や見解を伺いたい。

三 調査の進行状況にかかわらず、今回の新聞報道の内容が事実とすれば、前項の各法律上の問題点や一般的見解を伺いたい。

四 各法律に照らして問題点がある可能性が強いと判断した場合、どのような行政指導、刑事処分、実態調査等を行う方針か。各省庁ごとの対応を伺いたい。あわせて、同様事件の再発を防止するための行政指導など具体策について明らかにされたい。

五 これら摘出例は、法務省の訓令「人権侵犯事件調査処理規程」に定めた精神薄弱者に対する人権侵犯事件に値すると考えるが、政府の見解を伺いたい。訓令規程に基づいた調査を開始しているか。またその調査結果を明らかにされたい。

六 優生保護法第一条には「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する・・」との条文がある。極めて差別的な意味を含んでおり、世界でもこの種の法律がある国はまれである。優生保護法の廃止若しくは大幅改正を検討する考えはないか。

  右質問する。