質問主意書

第114回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

沖縄県内における米軍用家族住宅建設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年二月十四日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   沖縄県内における米軍用家族住宅建設に関する質問主意書

 政府は「思いやり予算」で、在日米軍基地内に、どんどん米軍用家族住宅の建設を進めてきたし、現在も進めている。しかもなお、今後も建設を進めようとしている。その結果、沖縄では、基地の外側にある沖縄県民の所有する米軍家族用賃貸住宅は需要が減少し、空き家がますます増加する一方である。沖縄県内の米軍家族用賃貸住宅の家主等で組織する「全沖縄貸住宅協会」(喜屋武潤一会長)によれば、昭和六十三年十一月現在、民間人の所有する米軍家族用賃貸住宅の総戸数約六千戸中、二千三百三十戸が空き家になっているとしている。
 その結果、家主等が非常な経済的打撃を被っていることはもちろん、関係団体で働いている三百余名の従業員も現在及び将来の生活に大きな不安を抱いている。このことは、産業基盤が脆弱な沖縄にあっては、ゆゆしい社会問題となっている。
 私は、この問題に関し、昭和五十九年八月三日と昭和六十一年四月二十六日にも、それぞれ質問主意書を提出したが、事態は一向に改善されないばかりか、ますます悪くなっているのである。政府の責任は大きいと言わなければならない。
 よって、以下の質問をする。

一 沖縄県に所在する米軍施設・区域内の家族住宅の戸数は、現在何戸あるか。具体的な数字を示されたい。

二 「思いやり予算」という名の提供施設整備の予算による家族住宅の建設戸数と予算額を昭和六十一年度以降昭和六十三年度分まで、全国及び沖縄県について示されたい。また、平成元年度分については、その建設計画戸数と予算額をそれぞれ示されたい。

三 政府は、前回の私の質問に対する答弁(内閣参質一〇四第四二号)の中で、「米軍は、沖縄県における家族住宅については、数千戸(傍点は質問者)が不足しているとの評価を行っているものと承知している。」としているが、現在はどうなっているのか明らかにされたい。

四 政府が沖縄県に所在する施設・区域内に建設している家族住宅の増加と民間人の所有する米軍家族用賃貸住宅の空き家の増加との間には明らかに因果関係が存在するが、政府はこれを肯定するか。この点に関する認識を明らかにされたい。

五 政府は、前記の答弁の中で、「提供施設整備の予算による家族住宅の建設に当たっては、今後とも民間の賃貸住宅の現状に配意し、必要に応じ関係者の意向をも徴していくこととしたい。」と述べている。

1 その後、民間の賃貸住宅の現状に対して、どのような配意をしたのか、具体的に明らかにされたい。
2 その後、関係者の意向を徴したことがあるか否か、明確にされたい。かつ、それは、いつ、どこで行われたか併せて明らかにされたい。

六 「全沖縄貸住宅協会」は、国に対して、次のような趣旨の要請をしている。

(一)国による在沖縄米軍基地内の米軍家族用住宅の建設を中止してもらいたいこと。
(二)民間人の所有にかかる米軍家族用賃貸住宅の契約戸数が常時五千戸を下回らないように配慮してもらいたいこと。
(三)政府の手によって、米軍基地内にどんどん建設されている米軍家族用住宅の増加のあおりをくって、民間人の所有する米軍家族用賃貸住宅は、年々空き家が増加している。そこで、これらの空き家による損失に対して、政府による救済策を講じてもらいたいこと。

1 政府は、この三項目の要請の件を承知しているか。
2 この三項目の要請に対する政府の見解を詳細に示されたい。

  右質問する。