質問主意書

第104回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

サハラ・アラブ民主共和国との外交関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年二月十四日

立木 洋   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   サハラ・アラブ民主共和国との外交関係に関する質問主意書

 今般私は、サハラ・アラブ民主共和国を訪問し、同国の統治勢力であるポリサリオ戦線指導部と会談するとともに、同国の実情について視察してきた。
 旧スペイン領サハラ(西サハラ)の帰属については、一九七五年十月国際司法裁判所によつて、「モロッコ、モーリタニア両国と西サハラの間における領土主権による関係を立証する事実は発見できなかつた」との見解が示された。しかし、モロッコ政府は、国際司法裁判所の判断を無視し、西サハラへの不当な侵略・占領を強行し、自決を主張するポリサリオ戦線側との対立が今日まで続いている。
 国連においても、西サハラ問題は再三とりあげられている。たとえば、第四十回総会では、西サハラの自決に関する国民投票を認める平和協定の締結と停戦のために、モロッコとポリサリオ戦線の双方に対し、直接交渉をはじめるよう要請する決議がおこなわれている。これは一九八一年の第十八回アフリカ統一機構首脳会議でモロッコ自身が認めたことを踏まえたものである。
 一九七六年二月、サハラ・アラブ民主共和国の樹立が宣言されて以来、この約十年に、世界の六十三カ国が同国を承認し、外交関係を確立している。また同国はアフリカ統一機構の正式の加盟国ともなつている。
 以上のことにかんがみ、私は、以下の点について、政府の見解をただしたい。

一 日本政府は、西サハラに対するモロッコの侵略・占領の事実を容認するのかどうか、容認するとすればその根拠は何か。

二 国連総会において、西サハラ問題関連決議案の採決に、日本政府は棄権してきているが、その理由について明らかにされたい。諸民族の自決権擁護の見地から、これらの決議に積極的に賛成する態度をとる意思はないか。

三 歴史的にモロッコおよび西サハラ沿岸海域は、日本船舶による漁場ともなつてきたが、日本漁船によるこれら海域での操業に関する漁業協定は存在するのかどうか。存在するとすれば、いかなる国とどのような条件の下においてか回答されたい。

四 サハラ・アラブ民主共和国側は、民族自決権と主権の尊重に基づく日本との友好関係の確立をのぞんでおり、日本漁船による西サハラ沿岸漁業においても、サハラ・アラブ民主共和国側の領海に対する侵犯によつて生じうる危険について懸念を表明している。
 日本政府として、主権の尊重と平等・互恵に基づいて、サハラ・アラブ民主共和国との関係を確立する意思があるかどうか、見解をただしたい。

  右質問する。