質問主意書

第92回国会(特別会)

答弁書


第九十二回国会答弁書第三号

内閣参質九二第三号

  昭和五十五年十月二十四日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律の運用の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律の運用の実態に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 最高裁判所が訟務担当の検事を推薦するに当たり、本人の承諾を得ているか否かは承知していない。
 なお、最高裁判所の定期異動人事と法務省の定期異動人事とは全く別個のものである。
(2) 裁判官から検察官になつた者及び検察官に転官後再度裁判官になつた者の数は、別表一のとおりである。
(3) 法曹一元の制度が望ましい制度の一つとして考えられているのは、それが広く法曹の各方面から十分な実務上の経験と広い視野を有する人材を裁判官に任用しようとする制度だからである。
(4) 法曹一元の制度が実現されるための基盤となる法曹人口の飛躍的増加、弁護士の地域的分布の平均化、裁判官の待遇の画期的改善等の諸条件は、政府の努力のみで整備できるものではなく、また、近い将来においてそのような諸条件が整備されることを予測することもできないので、政府としては、現段階においてその採用を決定することは適当でないと考えるが、右の基盤の培養等については十分の考慮を払つている。
(5) 弁護土に対する社会的需要は、弁護士制度とその運用の実情、経済情勢等に影響されるところが大きく、弁護士数が社会的需要からみて供給過多か供給過少かを一概に判断することはできないが、現在、弁護士の地域的分布に不均衡が存していて地域によつて供給過少となつているところはあると思われる。
(6)(イ) 司法試験第二次試験出願者数及び各合格者数は、別表二のとおりである。
 司法修習生の修習を終えて裁判官及び検察官に任官した者の数は、別表三のとおりである。
 なお、司法修習生の採用は、最高裁判所の所管に属するものである。
   (ロ)及び(ハ) 司法試験は資格試験であり、合格者についての定員はない。

二について

(1) 小川英明参事官は、代理人としての適格性に何ら欠ける点はない。
(2) 小川英明参事官は、指定代理人の職務を適正に遂行することを通じて国民全体に奉仕しているものである。
(3)(イ)から(ハ)まで 御指摘の文書は、新東京国際空港公団がその責任において業務の参考に資するために作成したものであると承知している。
   (ニ)及び(ホ) 御指摘のとおりと考える。
   (ヘ) 乙第四十七号証の記載の一部に誤記があるが、これを書証として提出・維持することが、指定代理人としての適格性に欠けるものとは考えていない。
   (ト) 収用手続の経過と概要を立証する資料としては、全体として適当な内容であると判断したことによると承知している。
   (チ) 小川英明参事官の日常業務は、指定代理人として争訟事件を適正に処理することであり、内閣答弁書に関する事務を含むものではない。
   (リ) 小川英明参事官は、御指摘のことを十分承知しているものと考えている。
   (ヌ) 小川英明参事官は、御指摘のことについて関心を持つているものと考えている。
   (ル) 乙第四十七号証には、虚偽表示と目されるようなものはないと承知している。
   (ヲ) 御指摘のような措置を執ることは考えていない。
   (ワ) 御指摘の文書等を書証として提出するに当たつては、指定代理人において証拠としての適格性を判断していると承知している。

(4) 小川英明参事官は、御指摘の事件における審理の経過に照らし、行政処分の適法性の立証のため必要があると認めて城野好樹証人の申請をしたものであると承知している。

三について

(1) 御質問のようには考えていない。
(2) 御指摘のとおりと考えている。
(3) 除斥制度を補完するものとして忌避制度が設けられているものと承知している。
(4) 御指摘のような見解もあると承知しているが、妥当な見解であるかどうかは具体的な事案をまつて判断したいと考えている。
(5) 除斥、忌避又は回避の事由がある場合には、所定の手続を経て裁判官が交代することになるものと考えている。
(6) 御質問のようには考えていない。
(7) 藤田耕三裁判官と小川英明参事官との間に忌避に当たる事情は何ら存在しないと承知している。

四について

(1)(イ)及び(ロ) 別表四のとおりである。
   (ハ) 別表五のとおりである。

(2) 被告指定代理人は、審理の経過に照らし必要があれば立証を行う予定であると承知している。
(3)及び(5) 裁判所の訴訟指揮に係る問題である。
(4) 被告指定代理人は、適切かつ誠実な訴訟活動を行つてきたものと考えている。

別表一 裁判官から検察官になつた者及び検察官に転官後再度裁判官になつた者の数 1/2

別表一 裁判官から検察官になつた者及び検察官に転官後再度裁判官になつた者の数 2/2

別表二 司法試験第二次試験出願者数及び各合格者数 1/2

別表二 司法試験第二次試験出願者数及び各合格者数 2/2

別表三 司法修習生の修習を終えて裁判官及び検察官に任官した者の数 1/2

別表三 司法修習生の修習を終えて裁判官及び検察官に任官した者の数 2/2

別表四

別表五 1/2

別表五 2/2