質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

国鉄塩嶺トンネル掘削にともなう異常出水に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年五月十九日

近藤 忠孝   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   国鉄塩嶺トンネル掘削にともなう異常出水に関する質問主意書

 国鉄中央東線複線化計画の一環としてすすめられている塩嶺トンネル掘削にともなつて昭和五十年六月異常出水が発生したが、二年近くを経た今日なお毎分三十五トンもの大量出水を続けている。このため、水源の枯渇や減水、水田陥没、き裂などの被害はひき続きひろがつており、関係住民の間には、広範囲にわたる被害や環境破壊への不安が高まつている。
 私は、この異常出水問題に関し、国と国鉄の責任において万全の対策を講ずるべきであると考え、以下質問する。

一 異常出水にともなう被害は依然拡大しているが、こうした事態を招いた責任は、工事に直接必要な範囲に限定した不充分な事前調査しか行わず、「湧水への影響はまずない」(昭和四十一年、岐阜工事局資料)として工事を強行した国鉄側にあると考えるが如何か。

二 ただちに止水工事を行い、一日も早く異常出水を解決すべきだと考えるが、そのためにどのような対策を講じようとされているか。

三 当面止水に全力をあげるとともに、新たな被害を出さぬよう止水できるまでの間トンネル掘削工事を中断すべきだと考えるが如何か。

四 現在、き裂、陥没の被害を生じている水田等に対しどのような対策を講じようとされているか。

五 トンネル湧水を飲用水源としている塩尻市勝弦地区住民の間に昨年来しつしん、かぶれなどの共通する症状が発生したが、工事に使用されている凝固剤との因果関係が心配されている。従つて、症状の原因を究明し、住民の不安にこたえるべきだと考えるが如何か。

六 現在、異常出水にともなう被害や環境破壊などについての調査は実施されているか。実施されているとすれば資料を公表すべきだと考えるが如何か。

七 水田の陥没やき裂など被害は予測以上に広がつており、出水がこのまま続けば、回復不可能な事態に陥ることになる。従つて、地下水脈や異常出水にともなう被害、環境破壊などについての総合的な調査にただちに着手すべきであると考えるが如何か。

  右質問する。