質問主意書

第72回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質七二第四号

  昭和四十八年十二月二十一日

内閣総理大臣 田中 角榮   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員吉田忠三郎君提出国土開発幹線自動車道路江別市通過線の路線計画等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員吉田忠三郎君提出国土開発幹線自動車道路江別市通過線の路線計画等に関する質問に対する答弁書

一、について

 高速自動車国道の路線の選定に当たつて環境の保全に十分な考慮を払うべきことは当然であり、従来からこのような観点に立つて、生活環境や自然環境の良好な地域をできる限り避けて路線を選定し、やむを得ずこれらの地域を通過する場合においては、道路構造上の配慮、植栽の実施など環境保全を確保するため必要な諸措置を講じてきたところである。
 北海道縦貫自動車道の札幌郡広島町岩見沢市間の路線については、大きく三つの比較線、すなわち、札幌市豊平区平岡から江別市の市街化区域の南部を通過して岩見沢市に至る路線(南回り線)、札幌市白石区米里から江別市の市街化区域の北部を通過して岩見沢市に至る路線(北回り線)及び札幌市白石区米里から江別市の市街化区域を横断して岩見沢市に至る本計画路線について後述のとおり、環境保全を含め各種観点から総合的に検討した結果、本計画路線を選定したものである。
 本計画路線は、江別市の市街化区域を横断するものではあるが、その建設に当たつては、掘割構造を採用し、遮音築堤及び環境保護植栽を実施し、必要に応じて遮音壁を設置するなど環境保全に万全を図る考えである。

二、について

 本計画路線が江別市の市街化区域を通過する区間の計画については、土地利用状況、土地利用の動向、生活環境に及ぼす影響などを慎重に考慮し、都市計画の一環として用途地域等と整合のとれたものとするよう指導してきたところである。
 「市街地の北側を迂回」する北回り線については、後述のような比較検討の上採用しなかつたものであり、本計画路線を北回り線に改定することは考えていないが、沿道の環境保全については十分な配慮を払う考えである。

三、について

 北海道縦貫自動車道の札幌郡広島町岩見沢市間の計画路線については、大きく三つの比較線を総合的に検討した上、選定したものである。
 すなわち、(1)南回り線については、北海道立自然公園野幌森林公園を通過し、自然環境保全上重大な問題を生ずること、札幌市厚別町の住居専用地域を長区間にわたり縦断することなどの問題があり、(2)また、北回り線については、河幅おおむね一キロメートルの石狩川を斜めに二回横断すること、これらの橋梁取付けは、我が国有数の軟弱地盤地帯であるため技術的に著しく困難な問題があること、江別市豊幌地区の水田地帯を斜めに横断することなどの問題があるのに対し、(3)本計画路線は、市街化区域を横断するが、既成市街地と新たな住宅地とを画している吉井の沢に沿つた土地利用上比較的問題の少ない箇所に位置していること、沿道の生活環境の保全については、道路構造上の配慮により十分対処し得るものであることなどを勘案して、本路線を選定したものである。
 なお、江別市の用途地域に関する都市計画(昭和四十八年六月一日北海道知事告示)は、本計画路線と相互に調整の上、決定されたものであり、妥当なものと考えている。