質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第五十一号)昭和二十二年九月十六日配付

家賃値上に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年九月十二日

小林 勝馬      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   家賃値上に関する質問主意書

 悪化せる経済状態にインフレは昂進し驚くべき速さをもつて物価は変動して行く。しかしながら諸物価の暴騰をよそに現在家賃は統制令に依り昭和十三年八月の水準に釘づけにせられてゐるのであるが、昭和二十二年九月より最高二・五倍の値上が許されたとは言え物価指数が戦前の六十倍―七十倍と言われて居るときに、十三年水準の二・五倍の僅かな値上げはこのインフレに対して無力である事は言う迄もない。家主にとつて其れが生計費の収入の重要なるものである場合、或は老後の生活安定の為の財源である者にとつては経済的に相当苦しい立場に置かれているのである。家賃に対して多額の家屋税を徴集せられ、更に補修資材の値上りに依り純益は現在の諸物価に比して誠に微々たるものであり生計費の何%かを僅に満して居るに過ぎないのである。以上の点に於て現在善良なる家主は窮乏にあえぎ生計の道を絶たれ生きんが為には万策尽きて売却する外なく然し家屋を売却したくも住宅難の折では借家人が居る関係上不可能である。
 一方に於ては謂ゆる悪徳家主が跳梁し現在何十倍というヤミ家賃を徴集して居る事は周知の事実である。かかる現状に対し十倍位の値上を行つたならば不当なるヤミ家賃の是正取締も容易に行われ、尚一般の建築意欲も生じ住宅難の一助にもなると信ずる。
 この際有効な家賃値上を行うと同時に基準賃銀の再検討及び改訂をを行うべきである。

 之に対する政府の処信を問う。

  右書面答弁を希望する。