請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 1871 件名 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者の支援と治療薬開発、肝炎ウイルス検診促進に関する請願
要旨  平成二十一年に成立した肝炎対策基本法の前文に「B型肝炎及びC型肝炎に係るウイルスへの感染については、国の責めに帰すべき事由によりもたらされ、又はその原因が解明されていなかったことによりもたらされたものがある。」と記載されているように、多くの感染者は、過去の血液行政や医療行政の不具合により感染し発症している。厚生労働省が平成二十九年三月に発表した「B型・C型肝炎による肝硬変・肝がん患者における医療費等の実態調査」では、平成二十七年時点で病院に通っているウイルス性肝臓病の患者数は六十五万人、そのうち重い肝硬変患者数は四・三万人、肝がん患者数は十・三万人である。このように十五万人が重いウイルス性肝臓病で苦しんでいる。平成三十年十二月から肝がん・重度肝硬変患者に医療費助成が実施された。しかし、助成の条件に該当する推定人数は七~八千人程度で、病状が大変重い多くの患者は療養病床にいる。多くの肝がん・重度肝硬変患者が安心して治療を受け社会復帰できるよう、新たな医療費助成の実態調査を実施し、その結果を踏まえて対象者の拡充を検討することを求める。肝がんに対する分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤、再発抑制薬等の開発や粒子線治療等の新しい治療法の適用、また、現在対症療法に限られている重度肝硬変に対し、根本治療薬の開発と適用を一層促進することを求める。B型肝炎は、ウイルスを排除できる薬がまだない。肝炎ウイルスが排除されない限り、常に肝がん発症の危険性から免れることができない。治療薬の開発と適用を一層促進することを求める。B型肝炎もC型肝炎も効果が高くかつ副作用のない治療薬が開発されている。しかし、まだ肝炎ウイルス感染を知らない潜在キャリア、感染を知りながら継続的に受診をしていないキャリアがいる。潜在する感染者や受診・受療に結び付いていない陽性者を掘り起こし、受検・受診・受療に結び付けていくことが大切である。効果的なウイルス検診の実施と妊婦検診陽性者のフォローアップ制度創設など、陽性者の受診・受療を一層促進することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、新たに始まったウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者に対する医療費助成の実態調査を実施し、その結果を踏まえて拡充を検討すること。
二、肝がん・重度肝硬変の治療薬・治療法の開発と適用を一層促進すること。
三、B型肝炎ウイルスを排除する治療薬の開発と適用を一層促進すること。
四、潜在する感染者の検診と陽性者を受診・受療に結び付ける施策を一層促進すること。

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