請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 1754 件名 国民の安全・安心を切り捨てる地方分権や道州制を行わないことに関する請願
要旨  東日本大震災は地震・津波により未曽有の被害をもたらすとともに、福島原発事故により大きな影響を残している。帰還困難区域がいまだ指定され、避難した人たちは住み慣れた地に戻る目途すら立っていない。二〇一八年は災害の多い年となった。冬期には関東地方や北陸地方を中心とした豪雪災害により交通網の麻痺(まひ)などが生じた。地震災害では大阪府北部での地震、北海道胆振東部地震が相次いで発生し、多くの犠牲者を出している。台風・豪雨災害では、西日本を中心に大きな被害が発生した平成三十年七月豪雨や相次ぐ大型台風などが繰り返し日本各地を襲った。近年多発する災害に、多くの国民が暮らしへの不安を抱えている。こうした災害を未然に防止・軽減するためには、河川・道路・港湾・橋梁(きょうりょう)・鉄道・トンネルなどの維持管理やその役割を担う地域建設業の役割が欠かせない。このような施設は、一九六〇年代以降の高度経済成長期に多くが建設され、老朽化が著しく、放置すれば国民生活の安全・安心に影響を及ぼす。大規模開発型の公共事業から、国民生活に直結した既存施設の維持・修繕中心の公共事業に転換することが急務である。同時に、防災や施設の維持管理の最前線に立つ地域建設業をその担い手にふさわしく再生しなければならない。しかし、建設産業に働く労働者は、低賃金や過酷な長時間労働などの労働条件の劣悪さから入職者が減少し、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っている。企業の存続や技術の継承、建設労働者の確保困難などに対応するため、いわゆる建設産業の担い手三法、職人基本法が制定されるとともに、公共工事設計労務単価が六年間で平均四三・三%も引き上げられているが、最前線で働く建設労働者の賃金改善は進んでいないのが現状である。災害からの復興を最優先とし、国民の安全・安心の願いに応える公共事業を実現するために、(一)公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること、(二)公正な賃金・労働条件と業者の適正な収入・仕事を確保することにより、地域社会を支える建設業の再生を図ることを強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、災害からの復興最優先、公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること。
 1 国民の安全・安心を切り捨てる「地方分権」や「道州制」は行わないこと。

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