請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 1709 件名 国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願
要旨  二〇一一年の東日本大震災や二〇一八年の北海道胆振東部地震などの地震災害、二〇一六年の北海道への台風災害、二〇一七年の九州北部豪雨、二〇一八年の西日本豪雨など、近年、地震・大雨・火山噴火などによる自然災害が全国各地で頻発し、多くの人命と財産が失われる未曽有の被害をもたらしている。災害による被害を未然に防止し、被害を軽減するには、防災計画や避難等の予防対策を充実させ、国民・社会に広めていくことが重要である。また、気象・地震・火山等の基礎知識の普及により、国民全体の防災意識を向上させることが必要不可欠である。そのため、気象庁が行っている自然現象の精密な監視・観測とその成果に基づく気象・地震・火山等の予警報等の提供が迅速かつ的確に行えるよう、体制を充実させていく必要がある。河川・道路・鉄道・港湾・空港などの公共インフラは、災害発生時に人命救助活動や支援物資輸送のライフラインとなるため、被災しても重大な損傷を生じさせないよう補強改修を早急に実施する必要がある。万一、被害が生じた場合には、一刻も早い復旧が必要であり、二〇〇八年に緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)を創設し、全国から被災自治体などへ職員を派遣して支援を行っている。加えて、公共インフラの多くが建設から五十年余りを経過して老朽化が進んでおり、インフラの維持管理を確実に実施することが急務となっている。また、北海道においては食料供給基地としての農業基盤整備や水産物の安定供給のため漁港施設整備も行っており、こうした社会資本の整備や管理に当たる体制を拡充していく必要がある。交通運輸関連においては、行き過ぎた規制緩和によって過当競争が生じ、安全性の確保が置き去りにされた結果、関越道や軽井沢でのバス事故が発生した。また、事業者が利益追求を優先することで採算性の見込めない地域では公共交通機関の撤退が相次ぎ、地方部に暮らす交通弱者の生活に重大な影響を及ぼしている。観光分野においては、政府は「二〇二〇年までに訪日外国人旅行者数年間四千万人」を目標に掲げており、航空機の発着回数増加に対応できる体制の確保、安全に観光地等へ移動できる交通体系の確保も急務となっている。国民の交通権を保障し、交通運輸の安全・保安体制を強化していくために、運輸行政の体制を拡充していく必要がある。これら国民の安全・安心を守るには、それぞれの分野で専門的な知識・技量を持つ人材の育成を行う教育機関、また、国土交通行政を支える基礎研究を担う研究機関などの独立行政法人においても体制と運営費交付金の拡充が必要である。以上のように、国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発と保全、社会資本整備、交通政策の推進、気象業務の発達、地理空間情報の推進を役割・機能とし、経済社会と国民生活に影響の大きい政策を担っており、その役割が極めて重要となっている。しかし、引き続く定員削減により、行政サービスの低下を余儀なくされており、国民の安全・安心を守り、国民の要望に応え、信頼される行政サービスを提供するために国土交通省の機構拡充と必要な職員の確保を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国土交通省の機構の整備拡充及び必要な職員の確保をすること。
二、国土交通省が所管する独立行政法人機構の体制拡充と運営費交付金の増額をすること。

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