請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 262 件名 国の責任による三十五人以下学級前進、教育無償化、教育条件改善、行き届いた教育に関する請願
要旨  国の学級編制標準は、二〇一一年の義務標準法改正により小学校一年生が三十五人に引き下げられたが、その後、法改正による標準引下げは行われていない。一方、保護者・地域の願いに応えて、国の標準を下回る独自の少人数学級を実施する自治体は増え続けている。しかし、地方財政は厳しく、国の加配の範囲でしか独自措置できないという自治体も少なくない。国が責任を持って少人数学級の前進を行うよう求める声が全国各地から上がっている。また、教職員の長時間過密労働解消が大きな課題となっている。文部科学省は看過できない課題であるとしながらも、教員の業務改善や意識改革、外部スタッフ導入などによる対症療法的な改善策で片付けようとしている。しかし、最も必要なことは、教職員定数を増やし、少人数学級を進めることである。そのためにも、義務・高校標準法を改正し、抜本的な教職員定数改善を行うことが必要である。日本の教育機関への公財政支出の対GDP比(二〇一四年度)は三・二%で、OECD諸国中最下位に戻ってしまった。せめてOECD諸国平均(四・四%)まで引き上げれば、小・中・高校の三十五人以下学級の実現のみならず、一人一人に行き届いた教育を保障するための教育条件整備と公立・私立共に就学前から大学まで教育の無償化を進めることが可能となる。憲法と子どもの権利条約が生きて輝く学校づくりを進めるために、全ての子供に行き届いた教育を実現する教育条件整備を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、教育予算をOECD諸国並みに計画的・段階的に増やし、行き届いた教育条件整備を進めること。
二、国の責任で小・中学校、高等学校の三十五人以下学級を一刻も早く実現すること。また、幼稚園や特別支援学級・学校の学級編制標準の引下げを進めること。
三、義務・高校標準法を改正し抜本的な教職員定数改善を進めること。
四、教育費の保護者負担を軽減して教育の無償化を進めること。
 1 高等学校等就学支援金制度の所得制限を撤廃し、公立・私立共に学費の無償化を前進させること。
 2 私学助成国庫補助の増額と就学支援金拡充で公私間格差をなくすこと。
 3 必要とする全ての高校生・大学生に対する返済不要の給付奨学金制度を拡充すること。
 4 高額な大学等の学費を引き下げること。
五、公立・私立共に豊かな環境の下で学べるよう、教育条件や施設の改善を進めること。
 1 臨時教職員ではなく、正規・専任の教職員を増やすこと。
 2 特別支援学校の「設置基準」をつくり、特別支援学校の過大・過密問題を解消すること。
 3 体育館等の施設を含めた学校耐震化率一〇〇%を早期に実現すること。
六、東日本大震災などの地震や自然災害、福島原発事故の被害を受けた子供を守り、学校と地域の要望を反映した復旧・復興を進めること。

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