請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 1548 件名 国民の安全・安心を切り捨てる地方分権や道州制を行わないことに関する請願
要旨  二〇一一年三月に発生した東日本大震災は未曽有の被害と原発事故をもたらし、避難者はいまだに住み慣れた地に戻る目途すら立っていない。二〇一七年七月には九州北部豪雨災害が発生し、大きな被害をもたらした。地震、豪雨による水・土砂災害、火山による噴火など、全国各地で災害に見舞われ、日本は災害列島と呼ばれるほど、どこで暮らしていても自然の脅威にさらされている。東海・東南海・南海地震や首都直下地震などの大規模地震も「今、発生する可能性がある」と言われるほど切迫しており、国民の安全・安心を守るための防災やインフラ整備は緊急な国民的課題となっている。こうした災害を未然に防止・軽減するためには、河川・道路・港湾・橋梁(きょうりょう)・鉄道・トンネルなどの社会資本の維持管理やその役割を担う地域建設業の役割が欠かせない。現在の社会資本は、一九六〇年代以降の高度経済成長期に多くが建設され、老朽化が著しく、放置すれば国民生活の安全・安心に影響を及ぼしかねない。耐用年数が経過した施設の更新には年間約二十兆円もの費用が必要とされ、今後計画的な維持管理を施して大規模開発よりも既存施設を維持・保全していく方向に公共事業を転換させていく必要がある。同時に、防災や施設の維持管理の最前線に立つ地域建設業をその担い手にふさわしく再生しなければならない。しかし、建設産業に働く労働者は低賃金や過酷な長時間労働などの労働条件の劣悪さから入職者は減少し、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っている。企業の存続や技術の継承、建設労働者の確保困難などに対応するため、いわゆる建設産業の担い手三法、職人基本法が制定されたが、最前線で働く労働者の公正な賃金確保や労働環境改善にはまだ至っていない。
 ついては、被災地の復興と国民の安全・安心の願いに応える公共事業を実現するため、次の事項について実現を図られたい。

一、災害からの復興最優先、公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること。
 1 国民の安全・安心を切り捨てる「地方分権」や「道州制」は行わないこと。

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