請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 168 件名 建築物に含まれるアスベストによる健康被害の防止に関する請願
要旨  じん肺は、最古にして今なお最大の職業病である。一九六〇年にじん肺法が制定されてから五十七年が経過したが、いまだに二千五百人を超えるじん肺有所見者が認定されており、毎年新たに三百人前後もの人がじん肺の最重症患者として認定され続けている。石炭じん肺やトンネルじん肺など国の加害責任は、判決によって明確になっている。ILO(国際労働機関)・WHO(世界保健機関)は、遅くとも二〇三〇年までの世界中からのじん肺根絶の実現を提唱している。日本も、一刻も早くじん肺法の改正を含む抜本的な制度改革に取り組むことが強く求められている。アスベストは、じん肺の原因となるだけでなく、強い発がん性を有することが古くから明らかとなっていたが、国が十分な対策を取らなかったため、多数の被害が発生している。アスベストについての国の責任も大阪泉南アスベスト訴訟最高裁判決や建設アスベスト訴訟の判決で明確になっている。労働安全衛生法施行令改正により二〇〇六年にアスベストの使用等が原則禁止となったが、今後もアスベストを使用した建物の改修、解体工事等による大量の被害発生が危惧される。また、吹き付けアスベストを使用していた住宅の居住者のアスベスト健康被害発生の問題も指摘されており、住宅のアスベスト調査と被害発生防止の対策を取ることは急務である。二〇〇六年三月に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」は、二〇一〇年七月に救済対象となる指定疾病が拡大されたが、中皮腫と肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚の四つに限定され、救済給付金も労働者災害補償保険法や公害健康被害補償法に比して低額に抑える等不十分な内容のままである。じん肺やアスベスト被害者を早急に救済するための基金制度の創設、取り分け被害者が多発しているトンネルじん肺、建設アスベスト被害の基金の創設は急務である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、建築物に含まれるアスベストによる居住者・住民の健康被害を防止するために十分な法的措置を採ること。

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