請願

 

第195回国会 請願の要旨

新件番号 305 件名 過労死と職場における差別の根絶に関する請願
要旨  長時間残業・過密労働、夜勤交代制労働、低賃金ゆえの複数就労、不安定な雇用や差別的な処遇、セクハラ・パワハラなどにより、心身の健康を損なう人が後を絶たない。過労死を含む脳・心臓疾患に関する労災請求件数は年間八百件前後で、過労自殺を含む精神障害に関する労災請求件数は五年前の年間千二百件から千五百件へと増えており、対策は急務の課題である。ところが、安倍政権の働き方改革は、残業代ゼロで働かせ放題の労働基準法の改悪を打ち出したり、非正規雇用労働者の差別的待遇を放置したまま非正規化を進める内容となっている。過労死を根絶し、男女が共に安心して働き、仕事と生活を両立させることが可能な「八時間働いたら帰る、暮らせる社会」を実現するには、労働時間の規制強化と生活できる賃金の確立、性別・雇用形態別の待遇格差を解消する法改正を行う必要がある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、労働基準法について、「裁量労働制の対象拡大」や「高度プロフェッショナル制度の創設(労働時間規制の適用除外)」、「月百時間もの残業上限の法定化」等の改悪は行わないこと。
 1 時間外労働の上限は、週十五時間、月四十五時間、年三百六十時間までとし、それを超える特例は認めないこと。
 2 始業から二十四時間を経るまでに十一時間以上の連続した休息(勤務間インターバル)の付与を義務付け、生活時間を確保すること。
 3 夜勤交代制労働は社会に不可欠な業務に限定し、法定労働時間を日勤労働者より短くすること。
 4 管理監督者、みなし労働適用者を含む全ての労働者の労働時間の把握と記録の保存を使用者に義務付けること。
 5 労働基準行政を支える労働基準監督官、厚生労働技官、厚生労働事務官を増員すること。
二、性別・雇用形態別の待遇格差をなくすため、パート法、労働契約法等を改正すること。
 1 合理的な理由のない待遇格差を禁止すること。格差がある場合、使用者はその合理性を立証する責任を負うものとすること。
 2 格差の合理性の判断基準から、将来の役割や異動の可能性などの差別を固定化する要素は除くこと。
 3 格差の解消を理由とした賃金・労働条件の不利益変更は禁止すること。
 4 労働契約は無期直接雇用を原則とし、有期労働や労働者派遣は臨時的・一時的な業務に限ること。

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