請願

 

第193回国会 請願の要旨

新件番号 2084 件名 日本橋上空を覆う首都高速道路撤去又は移設に関する請願
要旨  江戸開府以来、五街道の起点が置かれた日本橋地域は、日本の歴史や文化、経済の中心地として発展してきた。二〇一一年に架橋百年を迎えた重要文化財日本橋(二十代目)は、かつて明治の人々が世界へ、新しい時代へという気概を持って架けた橋で、堅牢(けんろう)で美しく、日本人としての誇りを今に伝えている。しかしながら、一九六三年に頭上を覆った首都高速道路により、水の都とたたえられた日本橋の景観は失われ、川には光が届かず、今や日本の歴史や文化、自然環境が損なわれている。さらに、築五十年余りたった首都高速道路は抱える問題も多く、東日本大震災時には上空の高架道路からかなりのきしみ音がするなど、安全面や防災面での懸念はもはや言うまでもない。また、昭和通り上空を覆う首都高速一号上野線にあっては首都高速道路の中で最も古い路線の一つであるが、交通量は二・七万台/日と他の路線より突出して少なく、その必要性自体が低下している。こうした中、国や東京都、首都高速道路株式会社でも様々な検討が進められているが、首都高速道路の在り方そのものを見直す機運が高まる一方で、現位置での大規模修繕を基軸とした計画が示されるなど、方向性は必ずしも一致していない。三環状の整備が急ぎ進められている今、大型車両を始めとする大量の通過交通が流入し都心の交通環境を圧迫している現状を見詰め直し、社会経済活動を効果的に支える道路ネットワークを再考すべきときが来ている。首都高速道路の更新を単なる老朽化道路の更新にとどめず、人を主役とする都市づくり実現に向けた革新の第一歩として検討すべきである。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の開催都市として東京が決定された今こそ、我が国が目指す都市づくりのイメージを世界へ発信し、その実現に向け一丸となり取り組んでいくべきである。地域の歴史、文化を継承した潤いと活気のある都市づくりを目指し、日本橋上空はもとより、利用者の極めて少ない首都高速一号上野線など地域を分断する都心環状線を一部撤去し、日本橋の地に青空を取り戻し、これが歴史や文化・景観・自然環境を重んじる世界に誇れるような都市づくりの源流となり、いずれ日本全土へ波及することを求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、人が主役となる交通環境の実現に向け、都心部の通過交通を抑制し得る交通体系の総合的見直しを図ること。
二、首都高速道路の補強や造り替えの在り方を検討し、その撤去を含む抜本的な対応策を確立すること。

一覧に戻る