請願

 

第193回国会 請願の要旨

新件番号 1881 件名 国主体での希少疾患である筋痛性脳脊髄炎の啓発活動等を求めることに関する請願
要旨  筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD―10)において神経系疾患(G93・3)と分類されている。米国の研究拠点である国立衛生研究所(NIH)は、「ME/CFSは、いかなる種類の労作によっても激しい症状の再発につながる全身性の労作不全によって特徴付けられる、後天的な多系統にわたる慢性疾患で、本疾患には免疫障害・神経機能障害・認知機能障害、睡眠障害、様々な基本的な身体機能を調整する自律神経系の機能障害を含み、これらの症状によって、激しい疲労を伴う著しい機能障害が引き起こされる。その他の症状として、広範囲の筋肉痛・関節痛、咽頭痛、リンパ節圧痛や頭痛などが見られ、少なくとも四分の一の患者は病気のある時期において、寝たきりか家から出られず、多くの患者は発症前のレベルの身体機能を取り戻すことは二度とない」とホームページで発表した上で、ウィルス感染が引き金となって感染後ME/CFSを発症し、ウィルス感染が免疫機能を変化させ、その結果、脳に機能障害が起きるという仮説を立て、免疫機能障害を標的にした治療薬の効果を確かめ、国の承認を得ることを目指している。その論拠として、ME/CFSにも罹患(りかん)している患者の悪性リンパ腫の治療のためにリツキシマブを使用した結果、ME/CFSの症状にも効果があることが認められたことを示す医学誌「プロスワン」のノルウェーの二つの論文を挙げている。平成二十六年度の厚生労働省の患者の実態調査において、日本の患者の約三割は寝たきりに近い重症患者である深刻な実態が明らかになったにもかかわらず、指定難病にならなかった。また、ME/CFSの患者数は約三十六万人とされ、希少要件(患者数が人口の〇・一%程度以下)を満たさないと思われてきた。その三十六万人の根拠とされたのは、一九九九年の「疲労の実態調査と疲労回復手法に関する研究」の実態調査で、重篤な慢性疲労状態の人が〇・三%認められたことであったが、疲労を対象とした同調査の結果のみを根拠として、疲労の病気ではない本疾患の患者数とすることは不適切である。一方、二〇一六年十月に更新された日本医療研究開発機構(AMED)のCFSの研究班のホームページでは、二〇一二年に改訂されたCFS臨床診断基準を満たす人は人口の〇・一%としている。AMEDの研究班の最新の疫学調査で患者数は人口の〇・一%と判明したのであるから、ME/CFSを希少疾患として研究を促進することを求める。本疾患は医療関係者の間でさえ認知度が極めて低く、患者は誤解と偏見に苦しんでいる。一方、欧米では根治薬の開発にしのぎを削っている。本疾患の正しい認知が広がり、実際に患者の生活の質の向上に結び付く研究が遂行されることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国主体でME/CFSの啓発活動をすること。
 1 米国国立衛生研究所(NIH)と日本医療研究開発機構(AMED)は覚書を結び、難病の研究協力を深め、研究データの共有等を進めているので、NIHとAMEDが共同でシンポジウムを開催するなど、国主体で神経系疾患であるME/CFSの正しい認知を広める啓発活動を行うこと。
二、希少疾患としてME/CFSの研究を促進すること。
 1 AMEDの最新の疫学調査の結果を踏まえ、ME/CFSを希少疾患と認め、難治性疾患実用化研究事業の対象疾患としても更に研究を推進すること。

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