請願

 

第193回国会 請願の要旨

新件番号 1765 件名 教育無償化を前進させることに関する請願
要旨  今、格差と貧困が広がる中で、親の経済力による進学格差が拡大し、大学生の五人に二人が日本学生支援機構の奨学金を借りている。貸与奨学金の七割は有利子で、卒業と同時に平均三百万円、多い場合は一千万円以上の借金を背負うことになり、多くの学生はアルバイトに頼らざるを得ず、無法なブラックバイトから抜け出せない状況も生まれている。さらに、卒業後も安定した雇用が保障されない中で、返還困難に陥ることが社会問題化している。日本政府が二〇一二年九月に教育無償化を進める国になると国際公約し、四年余がたった。無償の範囲には直接の費用(授業料等)のほかに、間接の費用(学校納付金等)も含まれている。二〇一三年五月、国連・社会権規約委員会は規約上の権利の全面的実現を可能な限り迅速かつ効果的に達成することを日本政府に求め、可能な限り早期に入学料及び教科書費を授業料無償化プログラムの対象に含めるよう勧告したが、政府はいまだにプログラムを示していない。それどころか、財務省は、二〇一五年十月、国立大学運営費交付金を二〇三一年度まで毎年一%減額する方針を示した。授業料で補填すると現行年五十四万円の授業料が九十三万円に引き上がる。国立大学が値上げに踏み出せば、学費高騰中の私立大学も値上げを加速させる。OECD(経済協力開発機構)加盟国中、GDP(国内総生産)に占める教育への公的支出(二〇一二年)は、OECD平均四・七%に対し、日本は三・五%と、六年連続最下位を更新した。
 ついては、未来を担う世代がお金の心配なく学び成長できる社会をつくるため、次の事項について実現を図られたい。

一、全ての教育段階の無償化を実現するプログラムを作成すること。
   公私ともに高校は実質無償化し、大学等の学費を下げること。直ちに「小・中学校の給食費無償化」「高校の入学金と教科書の無償化」を行うこと。
二、給付奨学金を実現すること。
   高校・大学等ともに奨学金は返還不要の給付を基本とすること。それが実現するまで貸与奨学金は無利子にすること。
三、奨学金の返還困難者に対する救済制度を抜本的に拡充すること。
   返還困難者に対する救済制度は所得に応じた給付制度を基本とし、現行より猶予・減免が拡大される制度にすること。大学ごとの延滞率等の公表をやめること。個人信用情報機関への登録(ブラックリスト)を中止し、延滞金を廃止すること。

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