請願

 

第193回国会 請願の要旨

新件番号 1675 件名 公営住宅に関する請願
要旨  (一)今日、若者の貧困が顕著となり、住居喪失の若者も少なくなく、ネットカフェ難民となるか、そうでなければ親元にとどまるしかない若者が増え、その自立を妨げている。一方、高齢者の住宅難も深刻な状況である。公営住宅募集の高齢者枠は三十倍を超える倍率であるとともに、民間賃貸住宅への入居を希望しても、高齢を理由にそのリスクを心配する貸主の入居拒否が横行している。住宅確保困難な若者や高齢者及び全ての住宅困窮者に安心して住み続けられる公営住宅制度を早急に整備し、国民の住まいの権利を保障することは、国と自治体の義務であり責務である。(二)国は、二〇〇五年十二月「公営住宅管理の適正な執行について」の通知を発出し、公営住宅の使用承継を「同居している配偶者及び高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る者」とする指針を示した。これにより、東京都を始め大阪府等の各事業主体は、使用承継を原則配偶者にする条例を制定した。この結果、親の介護や看護をして、その最期をみとった子供が使用承継できない悲惨な事態も発生している。国の施策として、使用承継の原則配偶者を撤廃し、子供まで拡大するよう求める。(三)一九九六年の公営住宅法改正により、入居収入基準が二五%に引き下げられ、その月額所得は現在では原則階層で十五万八千円が基準になっている。この年以降、公営住宅団地のファミリー世帯の空洞化が進展し、代わりに高齢化率が急上昇した。今では高齢化率五〇%を超えるいわゆる限界団地も少なくない。こうした高齢者が安心してついの住みかとして住み続けられるには、住宅のバリアフリー化などハード面の整備はもとより、見守りや生活支援・相談等のソフト面のケアが必要である。国や自治体は民間主導のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の整備と支援に熱心に取り組んでいるが、サ高住は住宅という名称は付いているが、その実態は施設という批判もある。その費用も家賃や諸サービスを受けると二十~二十五万円と高額であるとともに、一方では粗悪なサ高住では貧困ビジネスとして悪用されるケースもある。公営住宅が住宅のセーフティネットというならば、高齢者がその人生の最後まで安心して住み続けられる住宅(居住)政策を早急に確立することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、若者や高齢者及びその他住宅に困窮する者が、安心して入居できる公営住宅を大量に供給すること。
二、地位承継の原則配偶者という施策を撤廃し、少なくとも契約者の子供までが使用承継可能な制度にすること。
三、超高齢化した公営住宅に、見守り、生活支援、介護相談等のソフト面を重視した住宅政策に転換すること。

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